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47リポーターズ

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「野球」を食い物にするマスコミ

2012.3.16 18:07 共同通信

 ▽「野球」を食い物にするマスコミ 

 朝日新聞が一面はおろか、社会面にも大展開しているプロ野球、読売巨人軍の「契約金超過」問題。16日付の紙面では、第2弾として入団前のA選手に「特別スカウト活動費」の名目で210万円ほどが渡っていたこと、多額の契約金を得たB選手の大学時代の指導者とは「業務委託」の約束を交わし、将来的には2千万円を支払うことになっていた、などと報じた。次から次へと〝実弾〟の威力に物を言わせてきた巨人の過去があぶり出されている。他社の特ダネに感心している場合ではないのだが、この様子だと第3、第4弾がありそうな気配である。

 この手の話は野球界では周知のことだったが、最近の大相撲による八百長事件と同様に「証拠」がなかったため、うわさの域を出なかった。筆者はプロ、アマ野球を15年以上取材してきたが、どこの世界でもあるように球界関係者も自分自身のことや利害にかかわることには口を閉ざすが、他人のことや他球団のことについては雄弁であったりする。今回報道された以外にも、選手の親族に対して金銭授与があったり、巨額の借金を肩代わりしたなどという話も流れていたことがある。また、指名選手の契約金には野球部監督や同部長への謝礼分が含まれていた、といううわさ話も聞いたような気がする。もちろん巨人だけでなく、他球団も出来る範囲でやっていたはずだ。

 今回の朝日が他社の追っ掛けを許さず一人勝ち状態になっているのは、承知のように巨人の内部資料を入手しているからに尽きる。具体的な数字を目の当たりにした記者はおそらく足が震えたと同時に、ライバルを親会社に持つ球団の徹底糾弾を誓ったことだろう。ただ、これほどの「超一級」ネタが空から降ってくるはずはなく、何かを意図した者が反響の大きさなどを考慮し、最も有効なところに流した、と考えるのが普通である。もちろん、公表されることが巨人や読売新聞に対してどれほどのダメージになるかは分かった上で、である。スポーツ紙に載った巨人の桃井球団社長の談話(要約)では「契約書類は厳重に保管されており、経理部長のほかにアクセスできるのは球団社長と球団代表というのが実態」だそうで、巨人側が歴代幹部に事情聴取でもすれば「犯人」は簡単に特定されそうだ。

 まあ、そんな内輪もめのようなことはさておき、10年から15年も前の話について朝日がかなりのスペースを割いて何を訴えたいのかが見えてこない。「不正は許せない」と社会の木鐸(ぼくたく)を気取りたいだけなのだろうか。ライバル社や巨人、日本プロ野球界を非難しておきながら、それとこれとは別問題とばかり、ペナントレースが始まれば実名を公表した巨人の選手たちの活躍を「よくやった」と褒める記事を掲載するのだろうか。何かふに落ちないし、違和感がある。

 「野球」というスポーツは、マスコミの販売促進の材料として使われ、人気を博してきた歴史がある。それが競技の妙味とは別次元のところで魅力のないものへと追いやられつつある。16日付の某スポーツ紙の一面には「朝日新聞VS巨人」の見出しが躍り、センバツの組み合わせ抽選は最終面に回されていた。朝日だって高校球児を扱う機会は多いはずなのだが…。(2012年3月16日 47NEWS編集部 浜田潔)

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