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47リポーターズ

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「健診弱者」救う挑戦

2012.4.8 19:19 共同通信

▽「健診弱者」救う挑戦

 いわゆる駅ナカなどで保険証が無くても500円というワンコイン価格から受けられる健康診査が話題だ。キャッチコピーは「ちょっと立ち寄り、ちゃんと健康」。内容は血糖値、総コレステロール、中性脂肪、血圧や骨密度などの4項目。各項目の検査は500円、セット価格は1500円だ。採血後5分程度で検査結果が分かり、携帯で確認することもできる。4年前に元看護師の川添高志氏(29)が「ケアプロ」(横浜市)という会社を起業して始めた。東京都中野区と横浜市を拠点に全国で診査を実施してきた。

 同社代表の川添氏は、筆者の高校時代の友人。サッカー部に所属し、リーダー的な存在だが、たまに寂しげな表情を見せることがあった。高3になると何かに取りつかれたように受験勉強をしていた。今回彼にあらためて話を聞き理由が分かった。高1の時に父親がリストラに遭い、翌年に祖父が延命治療のチューブにつながれたまま亡くなった。医療と経営の問題を真剣に考えるようになり、3年の時に母親の勤務先の老人ホームでボランティアを経験。当時新設された慶大の看護医療学部に進み、看護師となった。数年後に米国でチェーン展開されている簡易的な健診事業を日本で始めることを決意。これが500円玉でも検査を受けられるという「川添高志のワンコイン革命」の原点だ。

 費用が高いという理由などで検査を受けられない「健診弱者」を救うというミクロ的な視点と、予防医療の推進により医療費を抑制しようというマクロ的な視点をあわせ持つ新事業は、新聞やテレビなどでも何度も取り上げられた。ただ残念なことにメディアでは画期的なサービスと紹介される一方で、既存の枠組みに当てはまらないため、医師会や行政、各地の保健所など関係者の理解を得るには苦労がたえないという。川添氏は今後も地道に活動していくことでいつか理解を得られると前向きだ。

 彼の志に共感する全国各地の医師や、検査のリピーターなど支援者は確実に増えている。ここ1、2年で同じようなサービスを始める同業他社も出てきたが、川添氏は簡易健診の普及という観点でライバル社の出現も大歓迎だという。将来的な目標は、「各個人が自分の健康に責任を持ち、自分の意志で定期的にチェックするのが当たり前な社会をつくること」だそうだ。社会をより良くしようと大志を抱く若者の挑戦は続く。(2012年4月8日 共同通信社デジタル推進局 松元竜太郎)

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