【世界の街から】感動呼ぶ、ひたむきな姿 パレンバンで、榊原春奈選手

ジャカルタ・アジア大会の女子シングルスカル決勝に出場した榊原春奈選手=8月23日、インドネシア・パレンバン(共同)
ジャカルタ・アジア大会の女子シングルスカル決勝に出場した榊原春奈選手=8月23日、インドネシア・パレンバン(共同)
2018年10月17日
共同通信共同通信

 「メダルを取れなくてごめんなさい」。インドネシアで開かれたジャカルタ・アジア大会のため、8月下旬にスマトラ島南部パレンバンを訪れ、ボート競技を取材した。メダルを期待されながら4位となった榊原春奈選手(24)にインタビューしたところ、思いも寄らない言葉が返ってきた。

 女子シングルスカルの榊原選手はロンドン五輪も経験。今回、決勝進出を決めた際にはきらきらと瞳を輝かせ「良い調整をして金メダル争いに絡みたい」と力強かった。

 普段はタイや周辺国の国際ニュースを担当している私にとって、スポーツ取材はほぼ初めて。偶然担当したボートだったが、若い選手たちの一生懸命な姿に、取材しているこちらまで、すがすがしい気持ちになった。

 そんな中、悔しい気持ちでいっぱいであろう榊原選手に話を聞くのは、気が重かった。人に話を聞いて伝えるのが記者の仕事だと割り切って問いかけたところ、冒頭の言葉を掛けられた。

 アジア大会は五輪に比べて日本での認知度は低く、ボート自体も、サッカーやテニスほど注目度は高くなかった。それでも日本代表として想像できないほどのプレッシャーが伴うのだろう。

 スポーツの目的は自己研さんではないだろうか。選手の努力や限界を超える姿が感動を呼ぶ。メダルを取れなくても謝る必要はないのでは―。

 しどろもどろになりながらもそう伝えると、榊原選手は「チームメートからも泣かされていないのに…」と涙ぐんだ。重くのしかかっていたものが、少しほぐれたように見えた。悔しさをばねに、自分の道を追求してほしい。(共同通信=バンコク支局・井上千日彩)

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