メニュー 閉じる メニュー

【特集】米朝首脳会談直前、92歳首相の決意 マハティール氏(2)

2018.6.12 17:35 共同通信

 ▽日本からのインスピレーション

 ―あらためて中国の「一帯一路」について、マハティール首相としては中国の「一帯一路」を支持しますか?

 「そもそも、わが国は小さな国家ですので、反対しても反対しなくても、中国は、計画は自らの考えで進めていくでしょう。ということで、一帯一路に関しては、われわれとしては中国の政策をマレーシアのために最大限活用していく必要がある。西側ヨーロッパに向かって、海上、陸上ルートをわれわれなりに、よい活用をしていく。そこで重要なことは排他的なものにしないということ。だれもが活用できることが大切だ」

 ―日本については、ルックイースト政策からずいぶん期間がたちましたが、今の世界情勢の中で日本の役割についていかがお考えでしょうか?

 「元々、ルックイースト政策を考えたとき、インスピレーションは日本から受けました。1961年に初めて来日したときには、日本はまだ戦後の復興の時期だった。ところが非常に短い期間で、日本は復興しただけでなく、世界ナンバーツーになり、ナンバーワンになるかというところまでいった。そのような意味で大変尊敬をしている。私なりの分析をすると、なぜ強力な成長ができたかと考えると、その要因は日本人の価値観にあると思った。それには、恥の精神がずいぶん大きな意味があったのではないか。上手にできなかった場合、自分のことを恥ずかしいと思う。昔は(日本人は)腹切りをしたかもしれない。それがあるからこそ何でも最善を尽くす、何をするにも日本は質が高く、早くできるということになったのではないか。それによって日本が成長して、世界の中で競争していく存在になっていけた」

 ▽東西南北どの方向

 ―米国の役割については?

 「米国に関しては非常に豊かで強い国家。対立したいとは思わない。われわれなりに米国を理解するように学んでいかなければなりません。それと同じように米国にはわれわれを理解してほしいと考えています。現在のトランプ大統領についてはよく理解できない状況だと思います。ある時点において、東西南北どの方向を向いているのか、さっぱり分からないので、まずは落ち着いて米国の政策はこれであると何らかのポリシーを打ち出してほしいと思います」

 ×  ×  ×

 92歳の現役政治家はある種の威厳があった。かつて英国の植民地、日本軍の支配、戦後再び英国から独立の道を模索して、マレーシア、シンガポールという複合民族国家が誕生した。これらの歴史を実際に見てきたマハティール氏のものの見方は深い。筆者は1988年から89年にシンガポール国立大学で学び、マレー半島各地を回った。大学の寄宿舎は、この地域の縮図で、中国、マレー、インド系、入植したポルトガル人を祖先に持つユーラシアン、4つの民族の学生がいた。多様な文化を認め、現実的に共存する道を選んだからこそこのエリアの発展があるように思える。(共同通信=柴田友明)

関連記事 一覧へ