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【辺野古から】移設先の直接補助金廃止 交付金再開、二重払い回避

2018.6.6 16:01 共同通信

 政府は、沖縄県名護市辺野古への米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設を進めるために辺野古など3地区に直接交付していた補助金を廃止する。名護市への米軍再編交付金の再開が決まり、二重払いの指摘を回避する狙いがあるとみられる。市の頭越しに地区に交付する補助金に対しては「地方自治を脅かす」との批判があった。異例の措置はなくなるが、政府のご都合主義も浮かび上がる。

 政府は2007年度に、「在日米軍再編の影響を受ける自治体」に交付金を支給する制度を創設。名護市は07~09年度分を受け取ったが、辺野古移設に反対する稲嶺進(いなみね・すすむ)氏が10年に市長に就任すると中断した。

 移設先周辺の辺野古、豊原、久志の3地区は「久辺(くべ)3区」と呼ばれる。久辺3区の住民の理解を得たい政府は「最も移設事業の影響を受ける地域の生活環境の保全や向上を図る」として名護市の頭越しに直接3地区に補助金を出す仕組みを15年度につくった。これに対し稲嶺市長は「アメとムチの最たるもの。地域分断以外の何物でもない。前代未聞で、地方自治への介入だ」と厳しく批判した。

 しかし久辺3区は「迷惑料」などとして直接補助金を17年度までに計2億2200万円を受け取った。補助金は(1)日米交流(2)住民生活の安全(3)生活環境の整備―に関する事業に充てることになっており、防犯カメラなどの整備を進めた。

 今年2月の市長選で、移設に反対しない渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏が当選。政府は4月、再編交付金の要件に当たると判断し、17年度分と18年度分の計29億8千万円の支給を決めた。政府は直接補助金についても18年度分として約1億2千万円を予算案で計上。2月の衆院予算委員会では、再編交付金の再開が確実視されるとして野党議員が「二重払いはいけない」と主張していた。

 小野寺五典防衛相は6月5日、渡具知市長や久辺3区の区長と防衛省で面会。直接補助金を廃止し、名護市への再編交付金で久辺3区の施設整備事業をまかなう方針を明らかにした。理由として「区長から、直接補助金は事務作業が大変だとの話がある」と説明した。

 だが、市の予算となることに住民の懸念もある。宮城行雄(みやぎ・ゆきお)豊原区長は「市議会で可決されなければ、区が要望する事業が実施されないので不安だ」と話した。もともと久辺3区への特別措置として生まれた直接補助金が、実質的に市の予算に含まれることで「迷惑料」の意味合いは薄くなる。

 小野寺防衛相は5日、直接補助金は廃止するものの、再編交付金以外の補助金も活用して久辺3区の要望に応える考えも示した。直接補助金廃止によって3区の反発を招くのを避けたいとの思惑があるのは間違いない。(共同通信=那覇支局・吉田尚弘)

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