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新しい「日本」をアピール  スケートボード勢の活躍  茂木健一郎 「茂木健一郎の五輪探求」5回続きの(2)序盤戦から

2021.7.30 15:00 共同通信
東京・お台場を訪れた茂木健一郎さん=14日
東京・お台場を訪れた茂木健一郎さん=14日

 

 東京五輪序盤、日本勢は好調で、次々と金メダルを獲得している。


 新競技、スケートボードの女子ストリートでは、13歳の西矢椛(にしや・もみじ)選手が日本史上最年少の金メダリストとなった。その前日、男子ストリートで優勝した堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)選手の活躍もあって、大きな注目を集めた。


 まだ一般的な認知が十分とは言えない競技に、社会の「熱」を一気に集めるのは、五輪の大切な役割。一つの学習の過程とも言える。


 五輪に出場した選手に話を聞くと、とにかく全てが違うという。特別な空気に満ちた会場で繰り広げられる熱戦が、五輪の価値をさらに高める。


 以前、スウェーデンの王立科学アカデミーの方とお話しした時、「ノーベル賞は成功したビジネスモデル」との言葉が印象的だった。受賞者の選考や、発表の仕方などで、権威と意義を保つ運営側の苦労が伝わってきた。


 同様に、五輪も、大成功したブランドと言えるのだろう。世界最高レベルの競技が、五輪のイメージと重なって、他にはない価値を生み出す。


 競技団体にとっては、五輪に採択されるかどうかは死活問題だし、国際オリンピック委員会側は、時代の流れとともに実施競技を見直して、ブランドを保つ必要がある。


 スケートボードで若い世代が大活躍したことは、五輪の輝きを次世代に伝えていく上で良い結果となったのではないか。


 今回の東京大会は、「五輪」のブランドにとって史上最大の危機の一つだった。新型コロナウイルスの世界的な大流行のなかで開催する意義をめぐって世論が分裂し、これまで築き上げたものが崩れかねなかった。


 開会式のテレビ中継の視聴率が高く、各競技も盛り上がるなど、今のところ東京五輪を開催するという「賭け」はうまくいっているように見える。感染状況は予断を許さないが、大会が無事続くことを祈りたい。


 困難な中での東京大会開催の経験を、日本がどう将来に生かすかを考えていけたらと思う。

茂木健一郎さん
茂木健一郎さん

 

 スケートボード男女で、若い世代がメダルを獲得したのは一つのチャンス。停滞とは無縁に、世界へと自由に飛躍する新しい「日本」のイメージを世界にアピールしたい。(脳科学者)