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「五輪銀貨」狂騒曲 1964年10月29日 「再現日録 東京五輪の10月」(29)

2020.10.29 8:00 共同通信
1964年10月2日、東京五輪の記念千円銀貨の1回目の引き換えが始まり、銀行前には長蛇の列ができた
1964年10月2日、東京五輪の記念千円銀貨の1回目の引き換えが始まり、銀行前には長蛇の列ができた

 

 東京五輪の記念千円銀貨の引き換えが29日、全国の金融機関・郵便局で行われた。だが、窓口の対応の不手際などで、東京など都市部では大混乱となり、沈静化に警察が出動した。

 引き換えは2回目だが、全国で500万枚と初回に比べ半分程度に減り、しかも最後。1枚5千円の闇値が伝えられたことも手伝って、51万枚が引き換えられた東京では約90万人が銀貨を求め窓口前に行列をつくった。

 徹夜で並ぶ人も多く、整理券を発行する所が多かったが、割り込み、2度並び、整理券の不手際などによるトラブルが続発。「暴力団員風の男が何度も割り込んだ」との告発も。東京では警官2300人が動員された。川崎、横浜、大阪、神戸などでも、もみ合いが起き警察が出動した。

 大手証券会社、山一証券は29日の決算役員会で、9月期に34億5400万円の大幅赤字を計上、会長や役員が退任した。前年同期比65億円余りの減収だった。

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 山一の大赤字は五輪の宴の後、人々が厳しい現実に直面する前触れとなった。競技場建設や都市インフラ整備に大量の資金を投入した「五輪景気」が終わり、「証券不況」とも呼ばれる不景気が忍び寄る。企業倒産も相次いだ。政府は1965年、山一に日銀特融を決め、金融恐慌再来を瀬戸際で食い止めた。(国名や組織・団体名、競技名、肩書などは当時の呼称に従っています。 共同通信=小沢剛)

 

1964年9月、東京五輪の記念千円銀貨の見本
1964年9月、東京五輪の記念千円銀貨の見本