メニュー 閉じる メニュー
47リポーターズ

47リポーターズ

86歳元警官、再び大会支援 戦争経験「平和の礎に」 輝け TOKYO

2020.3.26 7:30 共同通信
1964年、東京五輪で会場警備に当たり、今夏の東京五輪・パラリンピックにボランティアとして参加する鈴木雄三さん=2019年11月、東京都千代田区
1964年、東京五輪で会場警備に当たり、今夏の東京五輪・パラリンピックにボランティアとして参加する鈴木雄三さん=2019年11月、東京都千代田区

 

 元警視庁警察官の鈴木雄三さん(86)は1964年、東京五輪で会場警備に当たり、自身の戦争経験から「国力ではなく、選手の技能で競う平和の祭典」に魅せられた。今年夏の東京五輪・パラリンピックにボランティアとして参加する。「平和の礎となるよう陰で支えたい」。再び五輪に携わる喜びに胸を高鳴らせている。

 33年生まれの鈴木さんは幼少期に第2次世界大戦を経験し、親戚や知人を失った。終戦直前の45年8月、当時住んでいた愛知県豊川市で空襲に遭った。防空壕(ごう)に駆け込んで耐え抜いたが、親友は犠牲に。腹に響く「ずしーん」という爆撃音を忘れることはできない。

 警視庁に入り、大塚署の警ら課(現・地域課)に所属していた31歳の時、五輪の会場警備を命じられた。競歩のコースとなっていた国立競技場近くの沿道で、観客と選手を仕切る柵の前に立ち、周囲を警戒。その傍ら、視界の端に日本人選手が外国人選手に差をつけられていくのが映る。

 「頑張れ」。心の中で応援した。各国の選手が同じフィールドに立つ姿に胸が熱くなった。業務の合間に練習した英会話で、外国人に道案内もした。大会終了後、警視庁と組織委員会から贈られたメダルと感謝状は今も大切にしている。

 警備課などを経て93年に退職。趣味の水彩画と英会話の勉強を続け、穏やかに暮らしていた。18年夏、警視庁が側面支援を求めてOB・OGを対象にボランティアを募っているのを知った。体力は衰えたが「多様化の時代。高齢者にも役割はあるはず」と手を挙げた。集まったのは約120人。鈴木さんが最高齢だ。

 側面支援の主な仕事は、外国人らに道案内などをする交番支援、全国各地から派遣された部隊の後方支援、インターネット上の有害情報をチェックするサイバーパトロールの3種類。1日5時間ほどの任務に就く予定で、「英会話を生かせる」と交番支援を希望している。(共同通信=鶴原なつみ)

組織委員会から贈られた感謝状や警視庁から贈られたメダルと鈴木雄三さん=2019年11月、東京都千代田区
組織委員会から贈られた感謝状や警視庁から贈られたメダルと鈴木雄三さん=2019年11月、東京都千代田区

 

 警視庁の五輪対策 大会に向け、警視庁は幅広い対策を進めており、テロや雑踏事故を防ぐため、競技会場と最寄り駅の間に高性能カメラを設置するなど警備を強化。サイバー攻撃には関係事業者を対象とする研修会を実施している。大会関係者を円滑に輸送するため、期間中の交通規制を検討。交番の警察官らの携帯型端末に翻訳アプリを導入し、多言語対応にも力を入れている。

 

・“ぽっぽや”メダル挑む セーリングの外薗選手 【輝け TOKYO】

・苦難の福島、パラで励ます 視覚障害柔道の半谷選手【輝け TOKYO】

・也の頑張り、俺の励み カヌー羽根田卓也選手の同級生【輝け TOKYO】