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47リポーターズ

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エストニアでの連珠世界選手権

2019.8.30 10:00 女流二段 北尾まどか
エストニアのプレーヤーと対戦する藤田麻衣子さん
エストニアのプレーヤーと対戦する藤田麻衣子さん

 

 長年の夢だった世界一周。予定だけは空けていたものの直前まで調整がつかず、出発2日前にようやくルートが決まった。

 本当はアジアもいくつか回りたかったが、時間的な理由で断念し欧州を中心に回ることにした。

美しいタリンの街
美しいタリンの街

 

 まずはエストニアの首都タリンへと向かう。ここでは将棋の普及ではなく、「連珠」の世界選手権を見学した。

 藤田麻衣子さんが女子の部に出場するというので応援に行ったのだ。

 彼女は元々、将棋の女流棋士であり、そして「どうぶつしょうぎ」のデザイナーであり、さらに今では深川で「どうぶつしょうぎcafeいっぷく」の店主をしながら、連珠に取り組んでいる。

 

 連珠というのは競技用としてルールが調整された五目並べで、私自身も時々やっている。

 きっかけは「桑名七盤勝負」という、ボードゲーム7種(囲碁・将棋・連珠・バックギャモン・オセロ・チェス・どうぶつしょうぎ)を1列に並べて2者がその全てを同時に対局するというクレージーな競技に参加したこと。

早指し大会の会場風景
早指し大会の会場風景

 

 どの競技もルールくらいは知っていたのでやってみたが、これがなかなか面白い。

 その後ずいぶん広まり、そのおかげで他の競技者と相互交流できるようになった。

 

 私が連珠を始めたように、囲碁勢やオセロ勢など他の競技者がこのために将棋を覚えてくれたのである。

 どの競技にもプラスの効果があって、普及への功績は素晴らしい。この場を借りて発案者の大川英輝さんに感謝を申し上げたい。

 

 藤田さんは連珠に夢中になっていた。始めたころに「一緒に世界選手権へ行こう!」と話したことがあったのだが、彼女はずっと研さんを続けて選手としてエントリーした。

 私は弱い級位者のままだったが、応援に行こうと決めていた。

 

 連珠・五目の世界選手権は7月31日から8月10日まで行われ、私は8月3日から5日まで観戦した。

 正確に言うと、一日だけで完結する早指し大会のみ参加して、他は選手の写真を撮って日本の連珠ファンのためにツイッターに投稿していた。

 

 日本からは5人の連珠有段者が世界選手権に出場していた。

 会場は「Kullo」というホビーセンターで、学校のようにたくさんの部屋がある施設。早指し戦は広いホールで開催され、子どもから大人まで40人ほどが参加した。

 

 私は1回だけ勝つことができ、あとは全敗した。

 選手権の本戦会場は窓から日の差し込む細長い教室にテーブルがゆとりをもって配置されていた。

世界選手権の会場
世界選手権の会場

 

 対局は1人2時間プラス1手30秒という持ち時間で、1局ないし2局の対局を連日行う。

 連珠は将棋より平均手数が短いこともあり、皆ひたすら読みに没頭する。将棋のプロの対局室と同じ空気。思考の電流に満ちた、静謐で美しい空間だった。

 

 タリンには何人か将棋プレーヤーがいるらしい。

 連珠大会の運営をしていた方が将棋も指せるというので、廊下で1局だけ指した。私がデザインした図柄の将棋駒を使ってみることにし、特に説明もしなかったが、すんなり対局できた。

日本人プレーヤーが集まって局後の検討
日本人プレーヤーが集まって局後の検討

 

 ボードゲーム愛好家の多いエストニア。機会さえあれば、もっと将棋が広がるはずだと確信した。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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