メニュー 閉じる メニュー

【4215】土田 Initial K 生酛仕込み(つちだ イニシャル)【群馬県】

2020.4.25 15:17
群馬県川場村 土田酒造
群馬県川場村 土田酒造

【F居酒屋にて 全13回の⑬完】

 年に2~3回飲んでいる5人グループ。もともとTとわたくしは仕事で知り合い、よく2人で飲んでいた。Tの友人が次々に加わり5人のメンバーとなった。今回の場所は、TT居酒屋時代からお付き合いのあるF居酒屋だ。メンバーのうち1人がドクターストップで欠席。今回は4人で飲んだ。

「北島」「秀よし」「森嶋」「會津宮泉」「五十嵐」「大倉」「生粋左馬」「兵介」「神心」「笑四季劇場」「光栄菊 月影 Oyama 無濾過生原酒」「光栄菊 月影 Shinriki 無濾過生原酒」と飲み進め、最後13番目にいただいたのは「土田 Initial K 生酛仕込み」だった。土田酒造はこのところ、矢継ぎ早に実験作を世に問うているが、これもまさに実験作・話題作だ。

 まず、瓶の裏ラベルの文言を紹介する。「仕込水の一部を日本酒に代えて仕込むエレガントに甘く濃密な再醸仕込み ― K=Knot(結び・縁) ― すべては縁から始まり、人と人を結ぶ。その結び目が固く、永久であるように」。次に、蔵のホームページは、この酒を以下のように紹介している。

「イニシャルシリーズは、蔵としてチャレンジした酒のときにつけています。

今回のチャレンジはこちら!
1.日本酒を使って、日本酒を仕込む
2.精米歩合90%

【日本酒の複雑なうまみと甘みを味わう】ためです。イニシャルKのKは「Knot」。結ぶという意味です。人との縁ももちろん、食材との新しい縁を結んでくれるお酒です! 今回のお酒は、思いがけない食事との相性が生まれます! これはケンカするうまさです。「こんな相手の食材を目立たせる、こんな組み合わせがあったか!」と、驚かれること間違いなし!」

 以上の紹介記事から、最大の特長は「日本酒を使って、日本酒を仕込む」であることが分かる。日本酒の仕込みは通常、3回の分けて行われ、3回とも水を使う。しかしこの酒は、3回目の「留(とめ)」と言われる仕込みのとき、水の代わりに日本酒を使っているのだ。これは、「貴醸酒」と言われている酒の造り方だ。ちなみに、「貴醸酒」は、ポートワインをモデルに開発した日本酒だ。さて、いただいてみる。

 N 「旨いよ、これ。旨みたっぷり」
 D 「美味しい!」
 酒蛙「最初の香りは超独特複雑で表現不能。濃厚に甘い。甘いけどくどい甘さではなく、キレの良い甘さだ」
 D 「カラメルっぽい」
 N 「バランスが良い」
 D 「セメダイン(酢酸エチル)を感じる。これは旨い。最後に後を引く」
 T 「焼酎のような香りがする。旨いね」
 酒蛙「酸も旨みも十分に出ており、厚みのある甘旨酸っぱい味わい。燗映えしそうなお酒だ」

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「試験醸造イニシャルシリーズ、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、精米歩合90%、麹歩合22%、種麹 焼酎用黄麹、使用酵母 協会901号、アルコール分15%(原酒)、粕歩合40%、ラベルに表記のある原材料以外不使用(酵素剤・発酵補助剤不使用)」。

 また、蔵のホームページのスペック表示は「・種類:生酛、・原料米:群馬県産 飯米、・精米歩合:90%、・種麹菌:焼酎用黄麹菌、・麹歩合:22%、・酵母菌:協会901号、・仕込み水:武尊連峰伏流水(関東名水百選)、・アルコール度数:15%(原酒)、・グルコース:3.7、・日本酒度:−25、・酸度:2.2、・アミノ酸:2.3、・粕歩合:40%、・火入れ:1回、
・保管方法:常温流通可能 ※記載されている材料のみ使用。乳酸や酵素剤など、表示義務が必要ない添加物は、不使用です」

 以上のスペックで興味深いことは2点。まず最初は、精米歩合90%であること。ふつうの主食米の精米歩合は約92%。したがって、この酒はゴハンとほぼ同じ精米歩合で醸しているのだ。しかも使用米は主食用米。ある意味、ゴハンに非常に近いお酒ということになる。使用米の品種を開示してほしかったが、非開示ということは、さまざまな品種をブレンドしているのだろう。

 次に興味深い点は、焼酎用黄麹菌を使っていること。焼酎用の麹菌は昔々は黄麹菌だけだったが、今は白麹菌(焼酎)と黒麹菌(泡盛)が主流。焼酎用黄麹菌が使われているとはびっくりだ。ちなみに日本酒用の麹は黄麹菌だ。

 この酒はスペックを見ると純米酒系だが、特定名称の区分はしていない。「留」に日本酒(どんな日本酒を使っているのか分からない)を使っていることなどから、特定名称の区分ができないのだろう。

関連記事 一覧へ