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オフ中は「体作り」を中心に コーチは時代に合った指導法を学べ

2020.2.20 11:35 中村 多聞 なかむら・たもん
オフシーズンに体作りに励む早稲田大学の選手たち
オフシーズンに体作りに励む早稲田大学の選手たち

 

 オフシーズンには、シーズン中にはできないことにいろいろとチャレンジするようになっています。

 選手たちの心技体に関する基礎作りや、多くの方に広くレクチャーするクリニックなどです。

 

 僕の場合、作戦面や運営面ではなく個人能力向上に特化したコーチなので、シーズン中と同様にオフ中の活動も、選手は大変ですが重要になります。

 大学生は多くの選手が最終学年の4年生時にようやく「やる気と責任感」が湧いてきます。どうしても下級生時には上級生への遠慮もあり、自分の全てを出せるのはごく限られた人だと感じています。

 

 次のシーズン、初めて試合出場のローテーション入りとなる選手もたくさんいると思いますので、大学生活は4年間あるとはいえ、どうしても最終学年の「1年間」での成長を考えねばなりません。

 何しろ、それまでの3年間は本気になりきれていないわけですから。

 

 過去3年間鍛えてきた自分が、今年の秋冬シーズンで最高のパフォーマンスを発揮するためには「やる気と責任感」がようやく最大になった今シーズンが山場なのです。

 そのために昨シーズンが終了した翌日からの動きがとても重要であり、鍵になります。年末年始にサボっていた人はもう間に合わないかもしれません。

 

 ゲーム中の弱点が何なのかを徹底的に洗い出し、対策できることなのかそうではないのかを判別します。

 対策できることに対しては、我々コーチと一緒に話し合ったり練習してみたりで選手それぞれの進むべき道を見つけます。

 

 それが体作りだったり、技術的な向上だったり、精神的なことであったり、リーダーシップだったりと、課題は人それぞれです。

 例えば、A選手は経験値が高くインテリジェンスも合格点。ただ、少しパワーが弱いので体作りを最優先しレギュラーとしての振る舞いも研ぎ澄まさねばなりません。

 B選手は、経験値とヤル気はあるが心の安定に時間がかかる。C選手は並外れた体力は備えているが、経験値とインテリジェンスに課題があり、経験による繊細な技術習得が不足しているなどなど、ありとあらゆるケースがあります。

 

 しかし、問題点の中でも努力の量で確実にそして容易に解決できるのは皆さんご存知の通り「体作り」です。

 体作りはやればやるだけ結果が出ます。けがや病気などの例外はあるとしても、結果が出ていない場合はクオリティーよりもかけたエネルギーの総量が足らないだけであると言えます。

 

 しかし「結果が欲しかったら、とにかく根性でやり切りなさい!」では今の若者は動かないようです。それは我々の選手時代である昭和の流れであり、今は違うそうです。

 

 僕は20年以上前から若者に勤務してもらってナンボの若者向けの飲食店を経営しているので、経営者としてそういった勉強は継続的にしておりました。

 ところが最近は、国や世界のトップを目指すアスリートの大半が、そうしたメンタリティーの持ち主だそうです。

 先日引退した「ヒゲのおっちゃん」の本にも、そのようなことが書いてありましたので間違いありません。

 

 また短期クリニックなどでは、昔は有名な選手だったけれど、今は見る影もなく太った初対面オッサンを心の底から信頼するはずがありません。

 それに輪をかけて、僕のランニングバック論は彼らがこれまで習ってきたそれとは真逆の話ばかりですので余計に始末が悪いようです。

 「へー、本当はそうだったんだ!」と感心する人もいますが、聞いたことのない理屈は容易に受け入れてもらえません。

 その表情たるもの、何を話しても質問しても「聞こえましたか?」と尋ねてもうなずきもせず、目を見開いたまま無表情でこちらをジーっと見詰めているだけです。

 

 講義後に「何か質問がありますか?」と尋ねても発言はありません。しかし、現役の高校教師の方からこのような秘策を教わりました。

 「彼らは一人では声を発しません。先に2人組などにして話し合わせ、共通の意見として発言するように促してください。するとしっかりと発言するはずです」

 

 すぐに試してみたところ、全くその通りでした。議論が深まり、目的を果たせました。

 学校の先生ってすごいです。もう思い出せませんが、僕らの学生時代でもそうだったのかもしれませんね。

 心の中に疑問があり「質問はありませんか?」と聞かれても手を上げない。でも二人以上なら大丈夫。学びました。今後は必ずこの手法をとることは言うまでもありませんね。

 

 1日や2日ではどうしても時間が短いので駆け足で進んでしまい、内容が複雑で濃すぎるがゆえに、混乱を大きくしてしまっているのかもしれません。

 もう少し参加者の気持ちになって、彼らの中にあるモヤモヤを察してあげられるような指導者になっていかねばならないようです。反省し成長します。

 

 オフシーズンには体作りも大切ですし、タフでハードなシーズンを最後までやり切るんだという心の準備にも時間がかかります。

 ランニングバックの基礎的な動きに加え、極めて限界に近い状況「極限状態でのいろんなバージョン」での身のこなしや判断基準を身につける訓練をします。

 

 対戦チームへの対応に追われるシーズン中にはできない「個」に特化した鍛錬を、選手の心にモヤモヤが生まれないように、一緒に考えて前に進み「黙って俺の言うことを聞いていればうまくなれるのだ」ではなく、選手の意見を大事に扱い、しっかり褒めて伸び伸びと育ってもらうようにします。

 

 そして最後に、選手の体作りにアンテナを張っていましたところ、僕の指導する選手たちに「みらいふ福岡SUNS」様よりサプリメントの提供がありました。非常に飲みやすいようで教え子たちも喜んでいます。

 体作りには栄養の勉強が欠かせませんので、これをきっかけにいろいろと見識を深めてくれればいいなと思います。

 

 「コーチタモン」も令和の新時代に適応すべく志を持ち、リーグで一番優しく話の分かるコーチを目指していきたいと思います。

中村 多聞 なかむら・たもん

名前 :中村 多聞 なかむら・たもん

プロフィール:1969年生まれ。幼少期からNFLプレーヤーになることを夢見てアメリカンフットボールを始め、NFLヨーロッパに参戦しワールドボウル優勝を経験。日本ではパワフルな走りを生かして、アサヒ飲料チャレンジャーズの社会人2連覇の原動力となる。2000年シーズンの日本選手権(ライスボウル)では最優秀 選手賞を獲得した。河川敷、大学3部リーグからNFLまで、全てのレベルでプレーした日本でただ一人の選手。現在は東京・西麻布にあるハンバーガーショップ「ゴリゴリバーガー」の代表者。

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