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【編集後記】Vol.320

2020.2.13 10:41 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
中大のヘッドコーチに就任した須永恭通さん=ノジマ相模原ライズ提供
中大のヘッドコーチに就任した須永恭通さん=ノジマ相模原ライズ提供

 

 アメリカンフットボールに限らず、スポーツはコーチの技量がそのままチームや個人の成績に反映される時代である。

 

 本場アメリカのNFLや強豪と呼ばれる大学は、シーズンオフになると高額なサラリーで有能な人材の獲得に動く。

 残念ながら、日本はまだそこまで環境が整備されていないので、コーチ稼業の悲哀があちこちから聞こえてくる。やり甲斐はあっても、待遇面で恵まれないのだ。

 

 Xリーグのノジマ相模原ライズを2011年から率いていた須永恭通ヘッドコーチ(HC)が、2月1日付で関東大学リーグ1部TOP8に所属する中大のHCに就任した。

 須永HCとライズの名誉のために付け加えると、今回のケースは〝円満退社〟である。

 

 学生を指導するのは、2010年まで6シーズン在籍した母校の日大以来となる。高校、大学、社会人でQBだった須永HCの力量は誰もが認めている。

 特にQBの育成には定評があり、過去に複数の強豪大学からオファーがあったのも事実だ。

 

 2007年の甲子園ボウル。日大は関学大に38―41で敗れたが、この試合で攻撃コーディネーターを務めた須永HCの、大胆でよく考えられたプレーコールは秀逸だった。

 改修工事で甲子園球場が使えず、大阪・長居陸上競技場で開催された第62回大会は、歴史に残る激戦としてファンの脳裏に焼き付いている。

 

 チーム改革の途中にある母校への思いは当然ある。

 新体制が決まらず、チームが揺れ動いていた1年半前「もし日大のコーチに戻ることができたら、人生を懸けて指導したい」と熱く語っていたのを思い出す。

 

 プロのコーチである以上、その知識と力を貸してほしいと要請のあったチームで全力を尽くすのは言うまでもない。

 元々、社会人より学生を教える人だと思っていた須永HCが、高いポテンシャルを秘めた「ラクーンズ」をいかに啓蒙し、強豪に育て上げるのか。その手腕に注目したい。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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