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【編集後記】Vol.319

2020.2.7 13:06 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
日本代表を選ぶトライアウトに参加した慶応大の2年生OL簗瀬真史選手=富士通フロンティアーズフィールド
日本代表を選ぶトライアウトに参加した慶応大の2年生OL簗瀬真史選手=富士通フロンティアーズフィールド

 

 188センチ、120キロの体格は、Xリーグの大型選手の中に入っても見劣りしない。何より「大器」だけが持つ、独特の存在感が目を引いた。

 

 慶応大の2年生攻撃ライン(OL)簗瀬真史選手が2月1日、川崎市にある富士通フロンティアーズフィールドで行われた「日本代表」のトライアウトに挑んだ。

 慶応大は昨秋、部員が起こした不祥事を理由にリーグ戦途中から出場を辞退し、無期限の活動自粛を発表した。

 

 簗瀬選手のトライアウト参加は、日本代表を率いる藤田智ヘッドコーチ(HC=富士通シニアアドバイザー)の勧めもあり、大学の許可を得て実現した。

 5年ぶりに結成するフル代表による「JAPAN」は、3月1日に米テキサス州で、米国のプロフットボール育成リーグ「ザ・スプリング・リーグ」の選抜チームと対戦する。

 

 OLには大まかに言うと二つの仕事がある。一つは相手の守備選手をブロックして、味方のボールキャリアの走路を切り開く。もう一つは、パスを投げるクオーターバックを守るための壁になる役割だ。

 

 慶応の中等部では水泳をしていた簗瀬選手は、慶応高でアメリカンフットボールを始め、サイズを見込まれOL一筋にプレーしてきた。

 彼の存在を知ったのは、昨年4月の「早慶戦」。大きくて機動力もあるプレースタイルに驚き、それ以来注目していた。

 

 「OLは5人で一つのユニット。一人が反則をすれば、みんなに迷惑がかかる」と簗瀬選手は言う。

 その役回りは地味だが、誇りを持ってスクリメージラインで相手守備選手と対峙し圧倒するのが理想だという。

 二昔前に流行した、白いネックパッドと黒い軍手を愛用する。最近では珍しい「オールドファッション」が不思議と似合っているのがまたいい。

 

 父の智宏さんも「ユニコーンズ」OBで、OLとして当時の「オールジャパン」に選ばれる名選手だった。

 「父からは、やっと俺の足元ぐらいまで来たなと言われた」そうだ。

 藤田HCはトライアウト終了後、一番印象に残った参加者に簗瀬選手を挙げ「フットボール、続けてや。やめたらあかんで」と声を掛けていた。

 

 それから6日後の2月7日、日本協会が公表した56人の日本代表候補のメンバーに簗瀬選手の名前があり、さらに3日後の発表では、最年少の20歳で45人の日本代表に名を連ねた。

https://americanfootball.jp/archives/3228

https://americanfootball.jp/archives/3259

 ユニコーンズの活動再開の時期は不透明だが、若い才能を発掘し育てることの大切さを忘れてはならない。

 部が再建に向けて全力を尽くす中、個人の意思でトライアウトに臨んだ簗瀬選手の意欲と、その背中を押した大学の判断には敬意を表したい。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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