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【4120】基峰鶴 Calm(きほうつる)【佐賀県】

2020.1.23 11:47
佐賀県三養基郡基山町、基山商店
佐賀県三養基郡基山町、基山商店

【F居酒屋にて 全13回の⑪】

 仕事を通じて知り合った、気の合う仲間たちと時々飲んでいる。かれこれもう15年くらいになる。今回は8カ月ぶりくらいの飲み会だが、SNSのグループでつながっているから、“しょっちゅう会っている感が”ある。場所はF居酒屋。店主やスタッフのお人柄が素晴らしく、気持ち良く飲めるお店だ。今回は、わたくしたちのために、さまざまな酒を用意してくれた。全部飲まなければならない。

「川鶴」「月の井」「賀茂金秀」「つきよしの」「寒菊」「蓬莱泉」「奥州光」「大和屋善内」「豊久仁」「蔵太鼓」に続いていただいたのは「基峰鶴 Calm」だった。「基峰鶴」は当連載でこれまで、6種類を取り上げている。甘みと酸が出ている濃醇な酒、というイメージを持っている。これはどうか。いただいてみる。

 K 「これ、旨い!」
 W 「旨みが強い」
 T 「やさしい感じ」
 W 「キレが良い」
 K 「これはいい。日本刀でスパッと紙を切った感じ」
 酒蛙「『基峰鶴』としては、初めて感じる味わいだ。甘みがあるが、旨みがやや少なく、酸は感じない」
 K 「そう。酸はほとんど無い」
 酒蛙「余韻は苦みと渋み。軽快感がある。これまでイメージしてきた『基峰鶴』とはかなり違う。飲んでいたら、遅れて軽い酸が出てきた」
 K 「この酒に感動だあああ!!!」
 酒蛙「なんだか、軽快なんだよね。このような『基峰鶴』は初めてだ」
 店主「そうですね。『基峰鶴』は、途中からギアをアップするタイプなんですが、これはギアアップが無い」
 酒蛙「なるほど。軽快できれいなお酒だ。飲みやすい。肩が凝らず飲める」

 甘みと酸が出ている濃醇な酒、というイメージとは真逆の、軽快できれいなお酒だった。あれも基峰鶴、これも基峰鶴か。ずいぶん幅のある蔵だ。蔵元さんに柔軟性があるんだろうなあ。

 瓶の裏ラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)米麹(国産米)、原料米 規格外山田錦100%、精米歩合60%、アルコール分15度、製造年度30BY、杜氏 小森賢一郎、製造年月1.11」。

 ここで注目したいのは、原料米として「規格外山田錦100%」と書いていることだ。規格外(等外ともいう)とは、検査の際、1等、2等、3等などに該当しないコメのことをいう。規格外米を使用すると、特定名称酒(大吟醸、純米吟醸、純米、本醸造など)を名乗れず、普通酒扱いになる。したがって、今回のお酒は、スペック的には特別純米酒あたりだが、普通酒扱いとなる。

 近年、特定名称酒を名乗らない蔵が増えており、消費者は戸惑う。①名乗りたくないから名乗らない②普通酒規格だから名乗れない-。名乗らないのには、大きく分けると、この二通りがある。しかし、そのどちらか分からないから消費者は戸惑うのだ。今回の基山商店のように、規格外米を使用していることを公明正大に明らかにすれば、消費者も理解し、納得するのだ。

 このほか、規格外米を使用することは別のことで意義深いものがある。等級米しか使用しなければ、規格外米が余ってしまう。資源の有効利用という点で意義があることだ、とおもう。いろんなことを考えさせてくれる「規格外米」である。

 酒名「基峰鶴」の由来について、蔵のホームページは「国の特別史跡基肄城がそそり立つ基山の山懐を悠然と舞う鶴の優美な姿から名づけられたものです」と説明している。ちなみに「Calm」は、「穏やか」「落ち着いた」という意味。

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