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トップシードが第6シードに敗れる波乱 自滅した優勝候補レーベンズ

2020.1.15 12:21 生沢 浩 いけざわ・ひろし
抜群の走力でゲインするレーベンズのQBジャクソン(8)(AP=共同)
抜群の走力でゲインするレーベンズのQBジャクソン(8)(AP=共同)

 

 NFLのプレーオフ第2週は、AFCのトップシードであるレーベンズが勝ち上がりの第6シードのタイタンズに敗れるという大波乱があった。

 レーベンズは今季NFL最多の14勝を挙げ、12連勝でプレーオフに突入した。走ってよし、投げてよしのスーパーQBラマー・ジャクソンの活躍もあってチーム状態は盤石に思えた。

 正直に言ってプレーオフ出場全12チームの中で最もスーパーボウルに近い存在だと考えていた。それがレーベンズにとっては初戦となるディビジョナルプレーオフで姿を消したのだ。

 

 勝ったタイタンズは1回戦で昨年の王者ペイトリオッツを破っており、その勢いのままにAFC決勝に駒を進める。

 第6シードのチームがカンファレンス決勝を戦うのは、2010年シーズンのジェッツとパッカーズ以来。この時はパッカーズがそのままスーパーボウル制覇まで駆け上がった。

 

 攻略法がないとまで評されたジャクソンとレーベンズはなぜあっけなく敗退したのか。

 最大の原因は自滅だ。レーベンズ躍進の牽引車はジャクソンに間違いないが、チームがここまで安定して勝ってきたのはチーム全体がミスの少ないフットボールを続けてきたからだ。

 

 ところが、タイタンズ相手にはそのミスが続発した。

 試合最初の攻撃シリーズでジャクソンは、いきなりインターセプトを喫してしまう。

 さらにジャクソンはインターセプトしたタイタンズのDBケビン・バイヤードをタックルした際にアンネセサリーラフネスの反則を犯してしまう。これがつまずきの始まりだった。

 

 自らの失敗で頭に血が上ったのか、ジャクソンのプレーは気持ちばかりが先行して空回りしてしまう。

 そして、それはチームメートにも伝染する。不用意な落球やファンブルロストでミスを重ねる。タイタンズはそれに乗じて次々と得点を重ねていく。

タイタンズに敗れ落胆するレーベンズファン(AP=共同)
タイタンズに敗れ落胆するレーベンズファン(AP=共同)

 

 この試合でレーベンズは第4ダウンでのギャンブル失敗やターンオーバーによる攻撃機会の喪失が5回あったが、タイタンズは実にその4回でTDを奪っているのだ。

 これではレーベンズはモメンタムをつかむことはできない。

 RBマーク・イングラムが早々にふくらはぎを痛めて多くの時間をサイドラインで費やしたことも、レーベンズの強力なオフェンスが不発に終わった原因の一つとなった。

 

 タイタンズ側もしっかりとジャクソン対策を立ててきていた。ジャクソンの中央のランに対してはLBにスパイさせ、アウトサイドへのランはCBが徹底的にコンテインした。

 イングラムのランを警戒しなくていいだけに、タイタンズはラン守備のターゲットをジャクソンに絞りやすかった。

 

 ジャクソンは最終的には計143ヤードをランで稼いだが、タイタンズディフェンスにダメージを与えるものは数えるほどしかなかった。

 パスに対しては徹底したカバー3(3ディープ)で対応した。ジャクソンのパスはレシーバーに通るが、セカンダリーが深く守っているのでキャッチ後にタックルされてゲインがストップする。

TDパスをキャッチするタイタンズのTEスミス(81)(AP=共同)
TDパスをキャッチするタイタンズのTEスミス(81)(AP=共同)

 

 セカンダリーがレーベンズレシーバーに抜かれて後方への攻撃を許したのは第4QのTEヘイデン・ハーストへの14ヤードTDパスだけだ。

 しかし、このプレーが出るころには、既に試合の趨勢は決していた。

 あれだけの強さを誇ったレーベンズが自滅の形で敗退してしまうところに、プレーオフの怖さがある。

 

 現役時代をペイトリオッツで過ごしたマイク・ブレイベルHCは、常勝チームで習得したノウハウをそのままタイタンズに移植しているかのようだ。

タイタンズをAFC決勝に導いたブレイベルHC(AP=共同)
タイタンズをAFC決勝に導いたブレイベルHC(AP=共同)

 タイタンズは、テキサンズを大逆転で破ったチーフスとAFC決勝で対戦する。

 NFCでは第1シードの49ersが、勝ち上がりで勢いのあったバイキングズを力でねじ伏せて完勝。難敵シーホークスを退けたパッカーズと、スーパーボウル進出を懸けて顔を合わせる。

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

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