メニュー 閉じる メニュー

【編集後記】Vol.308

2019.11.14 12:41 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
関学大に勝った試合後、学生に話しかける立命大の古橋由一郎監督=撮影:Gyasan
関学大に勝った試合後、学生に話しかける立命大の古橋由一郎監督=撮影:Gyasan

 

 立命大が初めて「甲子園ボウル」を制したのは、1994年の第49回大会。当時の平井英嗣監督と古橋由一郎コーチ(現監督)が中心になり、攻守に好選手を擁して大学王者に輝いた。

 

 以後ほぼ毎年、関学大や京大と激しい覇権争いをしながら、強豪チームの地位を築いていった。

 長く関学大とライバル関係にあった京大の衰退もあり、関学大と立命大の「2強時代」が2000年以降続いている。

 

 11月10日に大阪・万博記念競技場で行われた関西学生リーグ最終節の「関立戦」は、立命の雪辱への強い思いが勝利を引き寄せたと言えそうだ。

 昨季の甲子園ボウル出場を懸けた、全日本大学選手権西日本代表決定戦では、試合終了間際に逆転サヨナラFGを決められ1点差で涙をのんだ。

 

 今シーズン、1敗で関学大との試合を迎えた「パンサーズ」は、この試合に敗れるとリーグ4位にまで落ちる可能性もあっただけに必死だった。

 QB荒木優也選手が、痛めている脚を引きずりながらパスを決める。エースRB立川玄明選手が力強い走りで前進する。

 

 ランプレーを出すための仕組みとして採用した、QBの片側にRB二人を置く、それまでにはなかったフォーメーションは「今日はランで勝つという、立命の明確な意思表明だったと思う」(関学大・小野宏ディレクター)。

 

 1年生RB横川豪士選手の活躍も、勝因の一つ。「隠し玉か?」という記者の質問に、古橋監督は「横川は能力の高い選手。1年生だからといって使わない手はない」と説明した。

 一方、守備のキーは「(関学大のQB)奥野君に、どこまでプレッシャーを掛けられるかだった」という。

 

 積極的にブリッツを仕掛ける作戦は成功し、勝負所でDB陣が2インターセプトを記録。第3クオーターの相手のファンブルボールをリカバーしたプレーも、試合の流れを大きく変えた。

 

 古橋監督の佇まいや話しぶりを聞いていると、いい意味で「昔ながらの監督」の雰囲気がある。

 熱いペップトークで学生の士気を鼓舞し、潜在能力を全て出し尽くさせるタイプの指導者とみた。

 

 「弱い弱いOLがチーム内で一番多くミーティングをして、遅くまで練習していた」

 関学大のDLを蹂躙したユニットの普段からの取り組みに目配りし、人前できちんと評価する。

 再建を託され、大学の指導現場に復帰して2年目の54歳。直接教えを受けたOBに「古橋シンパ」が多い理由が、少し分かった気がする。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

最新記事