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【3986】やたがらす 純米吟醸【奈良県】

2019.10.3 21:40
奈良県吉野郡吉野町 北岡本店
奈良県吉野郡吉野町 北岡本店

【F居酒屋にて 全18回の⑦】

 2カ月に1回、M居酒屋で定例飲み会を開いているTU会。年に1回は遠征して飲んでおり、今回の店は、わたくしがここ数年お世話になっているF居酒屋だ。福島県出身の店主とスタッフの人柄が素晴らしく、酒のラインナップも料理の美味しさも文句なしだ。TU会7人が酒と料理を楽しんだ。

「仙禽」「聖山」「川鶴」「寒菊」「岩の蔵」「ブラックジャック21」と飲み進め、7番目にいただいたのは「やたがらす 純米吟醸」だった。

 北岡本店のお酒は、当連載ではこれまで3種類を取り上げている。悩んだのは、「八咫烏 純米吟醸」(当連載【714】)と今回の「やたがらす 純米吟醸」が、酒名は漢字とひらがな、ラベルデザインも全く違うが、中身が同じなのか、違うのか。蔵のホームページを見てみたら「八咫烏 純米吟醸」の使用米は「五百万石」、こちらは「亀の尾」。全く違う酒だった。さて、いただいてみる。

 酒蛙「甘みと旨みが、直前に飲んだ『ブラックジャック 21』に似ている」
 TU「甘い。酸っぱい。辛い」
 酒蛙「旨いなあ。甘み、旨み、酸、辛みが、いい具合に混然一体となっている。イメージ的には、入りが『甘』で、後ろが『辛』のお酒。そして、シャープ感ときれい感のあるお酒だ」

 瓶のラベルのスペック表示は「原材料 米(国産)米こうじ(国産米)、使用米 亀の尾全量使用、精米歩合60%、アルコール分18度、製造年月2019.8」。

 使用米の「亀の尾」は、今では広く知られているが、実は復刻米だ。「亀の尾」は、1893(明治26)年に世に出た、ごはん用のコメの品種。食味が良いということで明治時代、飯米用に全国で最も多く栽培された。今でいう「コシヒカリ」のような人気だった。しかし、病害虫に弱く、稲が倒れやすいという欠点があり、昭和の始めには完全に姿を消した。

 しかし、幻のコメ「亀の尾」は半世紀後によみがえる。その立役者は、新潟県長岡市の久須美酒造6代目当主・久須美記廸さん。「亀の尾で造った酒にまさる酒はない」と聞いた久須美さんは「そのコメでぜひ酒を造りたい」とロマンをふくらませ、「亀の尾」探しを始めた。まず、茨城県筑波の農水省種子センターから種籾を分けてもらった。この種を植え、1980(昭和55)年の秋には、10本の稲穂ができ、これから1,500粒の種ができた。翌81年、これをもとに963本の苗をつくり、30kgを収穫。さらに翌82年、9人で「亀の尾生産組合」をつくり、1haに作付けし、4,8トンを収穫するまでになった。そして83年、ついに、銘酒「清泉 純米大吟醸 亀の翁」が誕生したのだった。

 さらに、このコメ作り・酒造り物語が、漫画「夏子の酒」(尾瀬あきら作)のモチーフとなり、そして1994年、連続テレビドラマ「夏子の酒」(フジテレビ系)が放送された。

 酒名「八咫烏」(やたがらす)の由来について、蔵のホームページは以下のように説明している。

「『やたがらす』とは神話に出てくる瑞鳥です。神武天皇が東征の際に熊野から大和に入る吉野の山中にて道に迷われました。
その際に天の神が道案内としてつかわした鳥が『やたがらす』であると言われています。『やたがらす』とは大きい鳥という意味であり三本足のカラスで中国や日本では太陽の精として信じられています。法隆寺の玉蟲の厨子後側の密陀絵に三本足のカラスの象徴の日輪があります。熊野本宮、那智、速玉の三社の御神鳥、また橿原神宮では交通安全の守護神として祭られています。また、日本サッカー協会での旗章に採用され日本代表のエンブレムになっています。北岡本店では大正時代、惣太郎が吉野とかかわり深い神武天皇の伝説にちなみ『八咫烏』を商標としました」

 また、ウィキペディアは、八咫烏が日本サッカー協会のシンボルマークに使われたいきさつについて、「これは、東京高等師範学校(東京教育大学を経た、現在の筑波大学)の漢文学者であり、日本サッカー協会の創設に尽力した内野台嶺らの発案を基に、日本に初めて近代サッカーを紹介した中村覚之助(内野台嶺の東京高等師範学校の先輩でもある)に敬意を表し、出身地である那智勝浦町にある熊野那智大社の八咫烏をデザインした物であり、1931年に採用された」と記述している。

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