メニュー 閉じる メニュー

スターWRブラウンがペイトリオッツと電撃契約 NFL2019が開幕

2019.9.11 12:12 生沢 浩 いけざわ・ひろし
レイダーズを解雇されペイトリオッツと契約したスターWRブラウン(AP=共同)
レイダーズを解雇されペイトリオッツと契約したスターWRブラウン(AP=共同)

 

 NFLの2019年シーズンは衝撃のニュースとともに幕を開けた。

 今年のオフシーズンの移籍組のなかで最も戦力に影響を及ぼす選手と思われたスターWRアントニオ・ブラウンが、現地時間9月7日にレイダーズを解雇され、その数時間後にペイトリオッツと電撃契約したのだ。

 スティーラーズとの確執で放出される形でレイダーズに移籍したブラウンは、1プレーも貢献することなく別のユニホームを着ることになった。

 

 ブラウンはレイダーズが7月末にキャンプインした際には足のけがで練習を休み、その後はヘルメットの使用をめぐってNFLと争い、チームへの合流が遅れた。

 今季からNFLは選手の着用するヘルメットに認可制を導入しているが、ブラウンが10年近く使用してきたヘルメットについては規格が古すぎるために使用許可を与えなかった。

 それを不服としてリーグに抗議する間、練習やプレシーズンゲームへの出場を「ボイコット」したのだ。

 

 開幕直前になってようやくレイダーズに合流したものの、今度はチーム首脳陣から練習を休んだ間の罰金を言い渡されたことに不満が爆発した。結局はこのこじれた関係が修復されないままチームを追われたのだ。

 それだけならよかったのだが、ブラウンがSNSを利用して自分が解雇される方向に事態が進むように工作した疑いも持ち上がっており、釈然としない移籍劇となった。

 

 ペイトリオッツは引退したTEロブ・グロンカウスキーの喪失が大きいと懸念されてきたが、ブラウンの加入でQBトム・ブレイディは格好のパスターゲットを手に入れたことになる。

スティーラーズ戦でパスを投げるペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)
スティーラーズ戦でパスを投げるペイトリオッツのQBブレイディ(AP=共同)

 ブラウンは33―3で勝った古巣スティーラーズとの開幕戦には間に合わなかったが、第2週のドルフィンズ戦からは試合に出場する予定だ。

 

 開幕週は今シーズン好成績が期待されるセインツ、ラムズ、チーフス、チャージャーズなどが順当に白星発進した。

 その一方でオフに大型補強を行って躍進が期待されるブラウンズはタイタンズに敗れた。

 オープニングドライブでTDを挙げるなど出足こそよかったブラウンズだが、多発した反則が足を引っ張った。

 ブラウンズが犯した反則は計18で、182ヤードもの罰退を喫した。それだけではない。チームの規律について疑問符を投げかけたくなる場面がいくつかあった。

 

 第2クオーター序盤に、タイタンズはこの試合初のTDドライブを成功させた。これを「アシスト」したのがブラウンズディフェンスの度重なる反則だ。

 パーソナルファウルやホールディングで次々とタイタンズにファーストダウン更新を許した。

 そして、タイタンズ陣内11ヤードでサードダウン4ヤードの場面で今度はDTシェルドン・リチャードソンがオフサイドの反則を犯した。ゴール前でファーストダウン更新を許す致命的な反則だ。

 

 実はリチャードソンはこのわずか2プレー前にラフィング・ザ・パサーの反則をとられている。立て続けに相手にダウン更新を許したのだ。

 筆者が疑問に思ったのは、オフサイドの反則後もそのままリチャードソンがフィールドに残ってプレーしたことだ。

 規律を重んじるヘッドコーチ(HC)なら、一度サイドラインに下げて注意しなければいけない場面だ。しかし、フレディー・キッチェンHCは動かなかった。

 

 同じ第2クオーターに、今度はブラウンズのLTグレッグ・ロビンソンがタイタンズの選手を蹴って反則をとられた。

 押し倒された腹いせに、横になったまま足を上げて相手の頭部に当てる悪質な行為だった。信じられなかったのは、この際もキッチェンHCはロビンソンをフィールドに残したままだったのだ。

 

 結果的には次のプレーが始まる前に審判が退場処分を下したため、ロビンソンが出場を続けることはなかったが、危険行為を行った選手をそのままフィールドに残したHCの判断には疑問を禁じ得ない。

 

 今季のブラウンズは最近3年ほどのドラフト獲得選手の成長や有力ベテラン選手の加入で2002年以来となるプレーオフ出場への期待が膨らむ。

 しかし、勝ちを優先するばかりにチームの規律が軽んじられてはならない。

 リチャードソンの反則はチームに不利益をもたらすものだし、ロビンソンの行為は暴力だ。そこで指導を行わないHCはもはや責任を放棄しているに等しい。

 

 チームの規律が緩いチームはファンの共感を得ないし、強くなることもない。

 2年目のQBベイカー・メイフィールドや新加入のWRオデル・ベッカムJr.、DEマイルス・ギャレットらがいいプレーを見せていただけに残念だ。

プレシャーを受けながらパスを試みるブラウンズのQBメイフィールド(AP=共同)
プレシャーを受けながらパスを試みるブラウンズのQBメイフィールド(AP=共同)

 

生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。1991年にジャパンタイムズ入社。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。「Pro Football Writersof America」会員。

最新記事