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日本国内での将棋普及活動~後編~

2019.8.2 10:00 女流二段 北尾まどか
大教室のスクリーンで将棋の授業
大教室のスクリーンで将棋の授業

 

 海外では、その地の指導者の熱心な働きかけによって、学校で教える機会を得られることが多い。

 外国語の授業として日本語があるところが一番入りやすく、ほかにも幼稚園だったり小学校だったり、いろんな学校で授業をさせていただいた。

立ったまま「どうぶつしょうぎ」をする子どもたち
立ったまま「どうぶつしょうぎ」をする子どもたち

 

 日本での〝将棋の授業〟はどうか。例を挙げると「将棋で磨く知性と感性」という授業が東京大学で2013年から開催され、プロ棋士が講義をしている。

 他のいくつかの大学でも将棋(囲碁と一緒のこともある)をテーマにした授業が行われているようだ。

 しかし、小学校、中学校で継続的に取り組んでいる例は少ない。その点では上海のほうが圧倒的に浸透している。

 東京都では近年、日本の伝統・文化に関する取り組みをしていて、その一つに将棋も入っている。ぜひ、もっと多くの学校で取り上げていただく機会を増やしてほしいと願っている。

 

 さて、そんな中で私が毎年訪れているのが桐朋学園小学校である。

 初めて訪れたのは2016年6月のこと。同校教員の有馬佑介先生の協力で、小学1年生72人を対象に特別授業をすることになった。

 大教室のスクリーンにスライドを映して説明し、子どもたちは体育座りでそれを眺める。

 将棋のルーツがインドにあることや、プロ棋士の制度や対局について紹介した。それから全員で「どうぶつしょうぎ」の対戦。最後に将棋対局の実演をした。

対局の実演。袴姿で作法を教える
対局の実演。袴姿で作法を教える

 

 「将棋の授業で印象的だったのは、子どもたちの表情と姿勢です。『どうぶつしょうぎ』の対局では、どの子もたくさん考え、前のめりで将棋と向かい合っていました。考える喜びが将棋の授業には詰まっています。また、勝つためには自分が指したい手だけでなく、相手の手も考える必要があることも素晴らしいと思いました。将棋は盤を挟んで、とても質の高いコミュニケーションを生み出すのだと感じました」と有馬先生からうれしい言葉をいただいた。

 

 対局中の真剣な表情、勝った時の笑顔。とてもいい顔をしている。

 時には負けて泣いてしまう子もいる。でも、それが将棋らしいところだ。1時間強という短い時間ではあるけれど、この授業が思い出の引き出しに残ってくれたらと思う。

「どうぶつしょうぎ」の対局でポイントを競う
「どうぶつしょうぎ」の対局でポイントを競う

 

 授業の終わりに、私は子どもたちにお願いをする。「今度はみんなが先生になって、将棋をまだ知らない友達に教えてあげてね」と。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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