メニュー 閉じる メニュー

痩せ過ぎ妊婦を減らしたい 低体重児のリスク増 栄養指導早める試みも

2019.7.16 0:00

 日本の赤ちゃんの10人に1人近くは体重2500グラム未満で生まれる。こうした低出生体重児は将来、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高いとされる。胎児の発育が不十分になる原因の一つは妊婦の不健康な痩せだ。今、20代女性の2割余りは痩せ形で、栄養不良も広がっていると心配されている。女性と赤ちゃんの健康を少しでも早く改善をと、妊娠前から栄養指導などに取り組み始めた医療機関もある。

 ▽朝食は菓子だけ

 
 

 群馬県高崎市にある産科婦人科舘出張(たてでばり)佐藤病院の佐藤雄一院長が「小さい赤ちゃんが増えたな」と気になり始めたのは2004年ごろだという。

 厚生労働省の人口動態統計によると、低出生体重児の割合は1990年代前半は6%台だったが、2004年以降は9%台半ばで横ばい。先進国の中では高さが目立つ。

 高齢出産の増加など幾つかの要因が絡むが、中でも重視されるのが若い女性の痩せ。国の調査では20代女性の5人に1人は、身長と体重から算出する体格指数(BMI)が18・5未満の痩せで、朝食欠食(栄養ドリンクや菓子だけの飲食も含む)は4人に1人。平均エネルギー摂取量も必要量に届いていない。

佐藤雄一院長 
佐藤雄一院長 

 佐藤さんが「朝ごはん食べた?」と尋ねると、妊婦の返事はたいがい「ちゃんと食べました」だという。だが「中身を聞くとドーナツやお菓子だけという人は珍しくない。また、体重は標準でも筋肉が非常に少ないなど、基本的な体づくりができていない人も増えている印象がある」という。

  ▽妊娠後では…

 こうした危機感も背景に、佐藤病院では栄養士が妊娠初期から、体重が適正に増えるよう食事指導を始めるほか「学びカフェ」と題した栄養講座が毎月ある。ご飯にタンパク質が豊富なおかず、カラフルな野菜や果物など、バランスの取れた献立を試食し、生活に取り入れるこつを学ぶ。6月上旬に開かれたカフェでは、参加した妊婦から「普段こんなに食べない」と驚きの声が上がった。

 同病院では、妊婦の年齢が上がっているにもかかわらず赤ちゃんの出生体重は増加傾向にあり、栄養指導の成果だと受け止めているという。だが「痩せた妊婦さんが一生懸命食べて体重を増やしても、赤ちゃんは小さめになる傾向がある。妊娠してからの栄養指導では遅いと考えるようになった」と佐藤さん。

 
 

 このため、2年前からは不妊治療で受診した女性向けにも講座を開き、妊娠前からの食生活の大切さを訴えているが、それ以外の若い女性はなかなか産婦人科に来ない。佐藤さんは「その人たちにどうメッセージを届けるか、さらに工夫する必要がある」と話す。

 ▽長い人生見て

 ずばり「妊娠前のケア」を部門名に掲げた施設がある。東京の国立成育医療研究センターの「プレコンセプションケアセンター」だ。血圧や血糖、貧血、ホルモンをはじめ妊娠出産と関係が深い各種検査と医師によるカウンセリングを行う。食生活の調査に基づく栄養指導も大きな柱。公的医療保険がきかない自由診療で、16年3月以降、カップルを含め約180人が受診した。

 担当する荒田尚子診療部長(母性内科)は「女性が若いうちから自分の体の状態をしっかり把握し、健康になろうという意識を持つことが大切。でも職場健診などは基本的に男性中心に組み立てられ、そうしたチャンスは少ない」と指摘した上で、こう話す。

 「プレコンセプションケアは、妊娠・出産をより安全に迎えることも目的だが、それだけではない。100年時代ともいわれる長い人生を女性が生き生きと過ごす土台づくりに役立つと考えている」

(共同通信 吉本明美)

最新記事