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台湾での叡王戦第1局

2019.7.5 11:30 女流二段 北尾まどか
大盤解説会場内にある対局コーナーはたくさんの人であふれた
大盤解説会場内にある対局コーナーはたくさんの人であふれた

 

 高見泰地叡王に永瀬拓矢七段が挑戦する第4期叡王戦7番勝負。4月6日に台北の「圓山大飯店」で開幕局が行われた。

 私は大盤解説会での聞き手を務めることになり、オーストラリアから帰国の翌日に台湾へ。

 

 日本滞在は14時間ほどで、ほぼトランジットの感覚である。

 羽田空港に棋士と関係者一同が集合。永瀬七段は初めての海外で、このためにパスポートを取ったらしい。

小籠包を食べる(左から)永瀬拓矢七段、立会人の木村一基九段、高見泰地叡王
小籠包を食べる(左から)永瀬拓矢七段、立会人の木村一基九段、高見泰地叡王

 他にも解説の三浦弘行九段と記録の梶浦宏孝四段も初海外とのことで、グループ全体にワクワク感とちょっとした緊張感が漂っていた。

 

 叡王戦初の海外対局の場所に選ばれた台湾。実は以前、担当者の方から海外の将棋事情について聞かれたことがあって、そのときに台湾を一番に推した。

 理由は最近、将棋が急速に普及していること、受け入れ態勢があることがある。

 

 タイトル戦の開催には地元のサポートが必要である。

 このコラムに何度も登場している黒崎淳一支部長は台湾でタイトル戦を開催してほしいとずっと願っていて、実現すれば台北支部の方々が協力してくださることは間違いないと思ったからだ。

検分する高見泰地叡王(右)と永瀬拓矢七段
検分する高見泰地叡王(右)と永瀬拓矢七段

 

 期待通り台北・松山空港の到着出口から大歓迎を受けた。

 現地の将棋ファンの方が大勢で出迎え、関係者一行と記念撮影。学生さんをはじめ若い方が多く、とても明るく楽しい雰囲気である。

 

 圓山大飯店は台湾のガイドブックには必ず載っている老舗のホテルだ。外観も内装も朱色で統一されており、宮殿のようにゴージャスだ。

 タイトル戦の前日に行われる「検分」は、いわばリハーサルのようなもので、使用する将棋道具や室内の明るさや温度など、対局環境を確認する。

 このときに台北支部の林震煌さんはこの日のために作ったオリジナルの駒を持参した。

 結果的に対局用としては選ばれなかったが、棋士からの評判はとてもよく、高見叡王が駒箱に揮毫をしてくださった。

 

 対局当日、大盤解説会場は予想以上の来場者であふれた。

 支部の方が30人くらいは来そうだと予想していたが、それをはるかに超えて100人以上が訪れ、座席を何回も追加するほどの盛況ぶりだった。

 

 日本から来た方や現地の日本人の方もいたが、半数以上が台湾の方だったと思う。

 私は台湾をこれまで10回以上訪れているが、現地の将棋ファンがこれほど増えたことにはとても驚いた。

国立中正紀念堂をバックに記念撮影する高見泰地叡王
国立中正紀念堂をバックに記念撮影する高見泰地叡王

 

 大盤解説会は張家瑋副支部長が通訳してくださった。

 解説者が日本語で話し通訳する。現地の方から質問が来る。それをまた通訳してもらう。

 

 通訳は2倍話さなくてはならない上に、最初から最後まで一人で担当する。さらに放送も入っているので大変な重労働だが、正確で分かりやすい通訳だった。

 

 大盤解説会の休憩時間に対局ができるようにと、黒崎支部長が気を利かせて将棋盤と駒を用意してくださった。

 そちらもすごい人だかりで、椅子を置くスペースがないため立って対局している。将棋の説明や支部の案内が準備されていて、それを読んで質問している方もいた。

 その光景を見ながら、台北での対局が実現してよかったと心から思った。

超満員となった大盤解説会
超満員となった大盤解説会

 

 対局自体は挑戦者の永瀬七段の逆転勝ち。こちらの詳細についてはニコニコ動画や叡王戦中継ブログなどをぜひご覧いただきたい。

 タイトル戦の海外対局が行われるのは、これが4年半ぶり24回目だそうだ。
 費用がかかり労力も要するが、確実に普及が進み将棋ファンが増える。今後も世界各地で行われることを願っている。(北尾まどか)

北尾まどか

名前 :北尾まどか

肩書き:女流二段

プロフィール:北尾まどか女流二段 2000年 、女流棋士2級としてプロデビュー。09年 10月から半年間、NHK将棋講座にレギュラー出演。女流プロ公式戦の対局をこなす傍ら、幼稚園、小・中学校などの教育機関での出張授業や、原稿執筆、講演など、幅広く活動している。10年に将棋普及のため、「株式会社ねこまど」を設立し、代表取締役に。「将棋をもっと楽しく 親しみやすく 世界へ」を理念に掲げ、世界中でイベント出演など将棋を通じて国際交流を行っている。多くの子どもたちに将棋を楽しんでもらおうと考案した「どうぶつしょうぎ」は、発売以来累計60万個を突破するヒット商品になった。東京都出身。1980年1月21日生まれ。

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