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老後資金に関する金融審報告書コンパクト版

2019.6.13 20:40 共同通信

 金融審議会の市場ワーキング・グループが3日に公表した報告書の詳報は次の通り。
 【はじめに】=略

 【現状整理】
 (1)人口動態等

 日本人は年々長寿化している。現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるという試算もある。

 未婚率の上昇やライフスタイルの多様化と相まって単身世帯が割合を伸ばしている。

 近年、認知症の人の増加が顕著だ。判断力に問題があると判断されれば、資産運用に一定の制限がかかりうる。

 (2)収入・支出の状況

 バブル崩壊以降、賃金が伸び悩んだ。公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれる。60代以上の支出は現役期と比べ2~3割程度減少している。高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円だ。

 若年層を中心に働き方は多様化している。一つの企業にとどまらない働き方は、老後の収入の柱である退職金給付で不利な面もある。

 退職金給付額は平均で1700万~2千万円程度で、ピーク時から3~4割程度減少している。退職金制度の採用企業数や退職給付額の減少傾向が続く可能性がある。

 (3)金融資産の保有状況

 65歳時点における金融資産の平均保有状況は、夫婦世帯で2252万円となっている。(2)で述べた不足額約5万円が毎月発生する場合、20年で約1300万円、30年で約2千万円の取り崩しが必要になる。

 (4)金融環境に対する意識=略

 【基本的な視点および考え方】

 (1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要

 夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で不足総額は単純計算で1300万~2千万円になる。重要なのは、老後に公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか考えてみることである。

 (2)生活様式の多様化でニーズはさまざま

 退職金と年金で老後生活を営むという標準的なプランは多くの人に今後ほとんど当てはまらないかもしれない。

 (3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動

 公的年金が老後の柱であり続けるが、年金制度の持続可能性を担保するためにマクロ経済スライドによる給付水準の調整が進められることとなっている。「自助」を充実する必要がある。

 (4)認知・判断能力の低下は誰にでも起こり得る=略

 【考えられる対応】

 (1)個人にとっての資産形成の心構え

 現役期は、少額からでも資産形成を始める時期。いざというときに備えた資金は預貯金などで確保しつつ、将来に向け投資で資産形成する。

 引退期前後は、金融資産の目減り抑制や計画的な取り崩しに向けて行動する時期。退職金がある場合、早期に情報収集し使途を検討する。長い人生を見据え、中長期的な資産運用を継続し計画的に取り崩す。

 高齢期は、資産を計画的に取り崩すとともに、認知・判断能力の低下や喪失に備えて行動する時期だ。老人ホーム入居費など、心身の衰えを見据えて資金計画を見直す。

 (2)金融サービスの在り方

 顧客本位の業務運営を徹底する。

 (3)環境整備

 資産形成・承継制度を充実させ、金融リテラシーを向上させる。

 【おわりに】

 心豊かな老後を楽しむためには、健康と同様にお金も重要。特に2025年は団塊の世代が75歳を迎え、今から準備を始めることが重要だ。

 標準的なモデルが空洞化しつつある以上、各人の状況で取るべき行動は変わってくる。金融サービス提供者は顧客に寄り添って考えることで信頼を得ることができる。

 日本は高齢化の最前線におり、世界でも先例がない中、皆が手探りで議論している。この報告書が契機の一つとなり、それぞれが精力的に議論することを期待している。

 ◇付属文書1 資産形成・管理での心構え=略
 ◇付属文書2 金融サービスの在り方=略