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【編集後記】Vol.286

2019.6.7 11:34 宍戸 博昭 ししど・ひろあき
梅雨入りを前に新緑が綺麗な東京・駒沢公園
梅雨入りを前に新緑が綺麗な東京・駒沢オリンピック公園

 

 梅雨前線が北上し、全国的に雨の季節を迎えた。鬱陶しい時期ではあるが、暑い夏に向けた大切な準備期間でもある。

 

 春のシーズンは終盤。本番の秋シーズンへの課題を見つけたチームもあれば、どうやって総合力を底上げするか頭を悩ませているチームもある。

 秋の成績を左右するのが、短いオフを挟んで始まる強化合宿練習の成否である。戦力的に劣るチームが努力や工夫を怠れば「番狂わせ」は起こらない。

 

 「戦術やフォーメーションは、本当に強いチームを作ろうと思ったら後回しでいい」。そう話すのは、元京大監督の水野彌一さんだ。

 水野さんといえば「一つのことを1万回」という指導法で知られる。

 徹底した反復練習でしか体得できない技術は多く、それをおろそかにして戦術ばかりを追求していては、勝てる組織は生まれないということである。

 

 日本代表の選手、監督として活躍し、3年前に53歳の若さで亡くなった「ミスター・ラグビー」と言われた平尾誠二さんは、著書「理不尽に勝つ」の中でこう語っている。

 「最近は練習が妙に科学的になったというか、『「何のためにするのか』という目的と合理性を求めるようになっている。もちろんそれは当然で、必要なことではあるけれど、時にはそういうことを無視して、理屈抜きで猛烈な練習をすることも必要だと私は思う。自分の限界を超えるような苦しさやつらさを乗り越える体験をすることで、そういう信念というか哲学が自分のなかに植えつけられるのだ」

 

 炎天下での猛練習は、選手の健康面で危険をはらむ。

 根拠のない精神論だけをよりどころにするのではなく、トレーナーや管理栄養士といったプロのアドバイスが不可欠になるのは言うまでもない。

 

 夏に鍛えて生まれ変わる。「実りの秋」に〝シンデレラチーム〟が登場することを期待したい。(編集長・宍戸博昭)

宍戸 博昭 ししど・ひろあき

名前 :宍戸 博昭 ししど・ひろあき

プロフィール:1982年共同通信社入社。運動記者として、アトランタ五輪、テニスのウィンブルドン選手権、ボクシングなどスポーツ全般を取材。日本大学時代、「甲子園ボウル」にディフェンスバック、キックオフ、パントリターナーとして3度出場し、2度優勝。日本学生選抜選出。NHK―BSでNFL解説を20年以上務めている。

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