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第9部「さまよう財政」(6) 小説家の真山仁さん 借金増、どこかで限界に

2019.4.22 16:04 井手壮平
 日本の国家破綻が現実味を帯び、首相や官僚が前例のない予算削減に挑むという小説「オペレーションZ」で近未来に警鐘を鳴らした小説家の真山仁さん(56)に、財政への意見を聞いた。
 
真山さん
霞が関の土地や庁舎を売るぐらいの発想を

 ―執筆のきっかけは。

 「たるの中に海賊が入っていて、次々と剣を刺していくと飛び出す玩具があるが、日本の財政はあんな状態だ。国と地方で1千兆円もの借金を抱え、返せる当てがないままどんどん増えている。何がきっかけになるかは分からないが、どこかで必ず限界が来る」
 
 「国債の多くは日銀が最終的に買い、それを物価目標達成のためと強弁している。経済としておかしい。限界の状況をノンフィクションで書いても読者にはなかなか伝わらないが、小説なら、財政危機で人が死ぬ場面だって描ける。この方が言葉が届くと思った」
 
 ―破綻を避けるには。
 
 「歳出を減らして歳入を増やすしかない。お年寄り皆が生活が大変なわけではないのだから、満額の年金が不要な人もいるだろう。政府も本当にお金がないなら首都を移転し、霞が関の土地や庁舎を売ったり貸したりするぐらいの発想があってもいい。本社ビルを手放すのは、民間企業ならどこもやっている話だ」
 
 
真山氏
      正面から増税を説いた方が有権者に信頼されるのでは

―小説には財政難で行政サービスの低下した地域の人々が、支え合いで対応する姿も出てくる。

 「なぜ社会保障の問題を、何でもお金で解決しなければいけないのかという意識があった。もともとは共同体の中で吸収してきたのだろう。たとえ自分の家族と仲が悪くても、他人には優しくできることがある。皆が他人にみてもらう仕組みを作ればお金は要らないということを、小説の中で実験したかった」
 
 ―財政再建は政治的に難しい。
 
 「そう考えるレベルの低い政治家が多いことを恥ずかしいと思うべきだ。本当は増税しないと立ち行かないと分かっている人は多い。正面から増税を説いた方が有権者に信頼されるのではないか。学生と接する機会も多いが、若い人は将来のため少しでも借金を減らしてほしいと思っている」
 
 ―安倍政権の「アベノミクス」はどう映るか。
 
 「株価を成功の目安にしているが、それで皆が物を買うようになっているか。将来が不安で貯金する人が多いのではないか。今の安倍政権なら思い切って財政を再建できるし、その方が憲法改正よりもはるかに国民のためになるはずだ」
   ×   ×    ×
 まやま・じん 1962年大阪府生まれ。同志社大卒。新聞記者を経て、企業買収の内幕を描いた「ハゲタカ」で小説家デビュー。経済小説を中心に著作多数。

 

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