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第9部「さまよう財政」(4) 次の射程は2040年  「支え手」急減に危機感 

2019.4.22 16:03 市川亨、金友久美子
 「消費税率引き上げで2025年を念頭に進めてきた社会保障と税の一体改革は終了する。今後は団塊ジュニアが高齢者となる40年を見据えた検討を進める必要がある」
 
 18年10月22日、厚生労働省が設置した「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」の初会合。居並ぶ幹部たちを前に厚労相の根本匠(68)があいさつした。
 
 団塊の世代が75歳以上となり医療や介護の費用が急増する「2025年問題」。政府は12年に一体改革の関連法を成立させ、病院の再編や、軽度者向け介護サービスの市町村への移行など、25年を乗り切るための政策を進めてきた。
 
 その改革も19年10月に予定される消費税増税で一区切り。次のターゲットとして40年を見据えた議論が始まっている。
 
 なぜ40年か。一つは団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者数が3900万人超とピークに近づくこと。もう一つは、社会保障の支え手となる現役世代の急減という事態に直面するからだ。
 
 「財源不足は引き続き問題だが、仮に『お金』があっても『人』がいないという状況が到来する。これは今までとは様相が全く違う」。40年に向けた改革を担当する厚労省審議官の伊原和人(54)は、そう解説する。
 
 厚労省が政策を立案し、財務省が支出をコントロールしてきた社会保障。そこに参入の動きを見せるのが経済産業省だ。
 
経産省の審議会で熱弁を振るう経産相の世耕弘成(中央)
経産省の審議会で熱弁を振るう経産相の世耕弘成(中央)

 「経産省が主導することでこの分野を成長産業としていく。(費用を)カットするというつらくて難しい議論ではなく、『明るい社会保障改革』が求められている」。18年秋、経産相の世耕弘成(56)は将来に向けた政策を考える同省の審議会で「ここでの提言を政府全体の方針に反映していきたい」と宣言した。

 「高齢化は暗いものだという考え方を変え、増税や歳出削減とは別の道を打ち出す」と経産省幹部。健康寿命の延伸や高齢者雇用の拡大、人工知能(AI)やロボット活用といった点では、厚労省と歩調を合わせる。
 
 安倍政権を支える経産省のこうした動きに、財務省は神経をとがらせる。ある幹部は「経産省が最終的に責任を取るわけじゃない。給付と負担をどうするかという議論は不可欠だ」と訴える。
 
 「オール政府、超党派で早く議論を始めないといけない」。20年先のことだが、厚労省の伊原の危機感は強い。ただ、政治レベルでは「まだ中長期の課題」(自民党幹部)という意見が支配的だ。ポスト一体改革を展望する場をいつ、どのように立ち上げるのかは全く決まっていない。(敬称略、年齢・肩書は当時)

 

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