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第8部「ついのすみか」(3) 低迷する空き家登録制度  家主の不安根強く 

2019.4.5 16:02 佐藤弘樹、桜井平
 単身高齢者らの住まいを確保しようと、空き家や空き室を活用する国の制度が低迷している。家主の不安が根強いためで、2019年1月末の登録数は約7千戸と、20年度末までに17万5千戸とする目標に遠く及ばない。
 
 17年10月に始まった住宅セーフティーネット制度は、空き家などの所有者が、単身高齢者や低所得者の入居を拒まないことを条件に都道府県などに届け出て、登録されれば専用ホームページに掲載される仕組みだ。
 
 国土交通省安心居住推進課の企画専門官大島敦仁(42)は「財政難で公営住宅の新たな建設が見込めない中、増え続ける空き家を有効活用できる」と狙いを語る。
 
 だが、耐震基準を満たさない古い空き家は改修が必要な上、国や自治体の補助が1戸当たり200万円にとどまることが足かせになっている。
 
 家主が加盟する全国賃貸住宅経営者協会連合会理事・事務局長の稲本昭二(57)は「家賃が安い地方では改修費用を上乗せすれば、入居者を確保できない。登録のために費用がかかるのは論外だ」と指摘する。
 
 登録が進まない背景には家賃滞納への不安や、孤独死した人の遺品の整理など家主の負担が重いこともある。稲本は「家主が守られていない今の制度では、登録は増えない」と言い切る。
 
 国の制度とは別に、家主が安心して貸せるよう、安否確認などのサービスを提供し、住まい確保に実績を上げている取り組みもある。
 
 福岡市社会福祉協議会などが実施する「住まいサポートふくおか」は、43社の不動産業者が協力し、65歳以上の単身者か夫婦に民間の賃貸住宅を紹介。日常的な安否確認に加え、死後の葬儀、遺品整理といったサービスも用意している。
 
 市社協事業開発係長の栗田将行(41)は「緊急事態に対応できることで、孤独死のリスクを避けたい家主に安心感を持ってもらえる」と説明。14年10月の事業開始以来、入居者は80代を中心に約200人に上る。
 
「住まいサポートふくおか」を利用し、低家賃のアパートに移り住んだ女性
「住まいサポートふくおか」を利用し、低家賃のアパートに移り住んだ女性

 「以前のマンションは家賃が約7万円と高く、生活費を圧迫していた。保証人が見つからず転居を諦めていたので、救われた思いだ」。福岡市早良区の1人暮らしの女性(84)は3年ほど前、社協の紹介で家賃3万円のアパートに移り住んだ。

 築約40年の1LDKだが、室内はリフォーム済み。ボタンを押せばオペレーターとつながる緊急通報システムと、毎日午前10時前にかかってくる安否確認の電話は、ともに無料サービスだ。女性は「もしもの時の不安もなく生活できている。ずっと住み続けたい」と話した。(敬称略、年齢・肩書は取材当時)

 

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