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アイドルとオタさんは侮り難し ライブ現場で予断と偏見を反省

2016.11.16 17:56 共同通信

 アイドルなんて、ちょっと顔が可愛くて、ちゃらちゃら、フリフリ踊りながら適当に歌うだけ。そのファンの「オタク」の皆さんは、友達も少なく趣味もなく、アイドルの追っかけに精を出し時間をつぶすのがせいぜいな人たち。そんな間違った予断と偏見をオジサン記者は持っていた。だが、その考えは、たまたま誘われて見た一つのアイドルグループのライブで完膚なきまでにたたきのめされた。

 そのアイドルグループは「アップアップガールズ(仮)」。7人からなるユニットで、デビューから6年と、アイドルとしては〝ベテラン〟。このほど日本武道館初ライブを行った。

 はっきり言って、つまらなかったら途中で帰ろうと思っていた。しかし、その考えは開演後まもなく消し飛んだ。

 まず驚いたのは、彼女たちの身体能力だ。キレキレのシャープな動きのダンスを歌いながら踊りまくり。もちろん「口パク」ではないので、その息づかいまで伝わってくる。約3時間のライブの間、MCの時間やスローの曲を除いて、踊り続ける体力にびっくり。そう、彼女たちの異名は「アスリート系アイドル」なのだ。ライブではメンバーが空手で氷柱を割るパフォーマンスも行われた。

 もう一つの特長は、歌のレパートリーが幅広い点。ポップス、ディスコ、ハウス、ラップなどダンサブルな曲があるのはもちろんだが、演歌あり、津軽三味線との共演あり、ピアノとストリングスの生演奏に乗せるのもありと、何でも来いだ。

 それはそうだ。アイドルとして芸能界で一定の位置を占めるためには、厳しいオーディションを経て、日々これまた厳しいレッスンを積み、またまた厳しいファンの選択眼にさらされる。そんなことに思い至らなかった私が浅はかでした。

 そんな圧巻のステージを見せる彼女たちだが、入場者数は4158人。武道館のキャパの半分以下だ。芸能界でのし上がっていくことの厳しさを見せつけてくれる。

 一方のファンのオタクと呼ばれる皆さん。見てると何かいじらしいほど、いちずなんだな。ステージに目を凝らし、体を揺すり、腕を突き上げ、お気に入りのメンバーの名前を叫び、ケミカルライトやサイリウムを振る。

 本当、みんな一生懸命。コンサートを盛り上げつつ、自らもアイドル空間にたゆたう。そんな彼らのエネルギーがメンバーにも伝わり、歌もダンスも一層力がこもったものとなり、武道館という大空間を一つの祝祭空間に変質させていく。ファンがアイドルを愛し、アイドルもファンを大切にする。そんな関係性が親密に感じられるのだ。

 音楽を通してアイドルグループとファンが共鳴し合い、一体感を醸し出していく。その心地よさに、何かほんわかとした気持ちで家路についた。

 (47NEWS編集部 中村彰)

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