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オリンピックのレガシーって?

2016.11.18 16:28 共同通信

 「レガシー(遺産)」が今年の新語・流行語大賞にノミネートされた。有形無形を問わず「五輪のレガシー」という文脈で話題に上ったが、2020年の東京五輪・パラリンピックは何を「レガシー」とするのか、その中身については議論が続く。

 1964年の東京五輪では、日本武道館や国立代々木競技場などの施設が建てられ今も使われている。2020年五輪のレガシーとして建設予定だった有明アリーナなど競技施設見直しが話題となる一方で、検討中のテーマがある。

 国際オリンピック委員会は、レガシーを「長期におよぶポジティブな影響」ととらえている。4年前のロンドン五輪から「環境」と「持続可能性」が重視されるテーマとなった。選手村で提供する食材などについて、地元産品を使うことで二酸化炭素排出量を削減したり、フェアトレード産品を使ったりして運営されたという。日本代表選手の活躍の陰で気がつかなかったが、この流れは今年のリオデジャネイロ五輪にも引き継がれていたらしい。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会でも、専門家らを交えて、環境や人権などの「持続可能性」に配慮した五輪運営にどう取り組むかを検討中だ。リオ五輪開催前の6月、建設材料や家具に使う木材について、国産材を優先にし、違法伐採などと無縁と認証された木材や紙製品を使うという基準をすでに公表している。

 続いて議論中なのが、選手らに提供する食材の調達基準だ。農作物であれば、生産工程で農薬などの管理を徹底したものや有機栽培のものなど、環境と持続可能性に配慮した作物などの優先的に使えないかどうかを検討している。畜産物は海外では関心が高い動物福祉(アニマル・ウェルフェア)に配慮して育てたもの、水産物なら環境や資源管理に配慮した水産物であると認証する制度などを吟味し、議論のたたき台とする意向だ。

 同組織委は今月下旬から意見を募集し、さまざまな国から集まるアスリートらにどんな基準の食品を提供していくのかを来年3月にも決める。

 オーガニックフォーラムジャパンの徳江倫明会長は五輪の食材調達基準に早くから関心を持ってきた1人。同フォーラムが18~19日開催の「オーガニックライフスタイルEXPO」https://ofj.or.jp/でも、この食料調達基準の話題に触れる。徳江会長は「東京五輪でとった対応が後々、日本社会で当たり前になっていく。それがオリンピックのレガシーとなれば…」と期待を寄せる。

 ただ、「日本産品でおもてなし」を追求しようとすれば、国際的に通用するような認証を受けた農畜産品や水産品が国内から実際にどれほど供給できるのかも未知数。ほかにも、農作業や水産加工の現場作業に低賃金で従事する外国人技能実習生の問題が、人権面で今後フォーカスされないか…と懸念する声もある。

 日々の暮らしから東京五輪のレガシーをどうしたいのか考え、一人一人のライフスタイルが変わっていけば、真の流行語になるのかもしれない。

 (47NEWS編集部 木村啓子)

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