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【イタリアのトランプ】(1)自らに重ね不動産王賞賛

2016.11.20 18:07 共同通信
2008年4月、イタリアのサルデーニャ島で会談する、ベルルスコーニ氏(左)とプーチン・ロシア大統領(AP=共同)
2008年4月、イタリアのサルデーニャ島で会談する、ベルルスコーニ氏(左)とプーチン・ロシア大統領(AP=共同)

 先日、47トピックスでトランプ次期米大統領とイタリアのシルビオ・ベルルスコーニ元首相(80)との間には多くの共通点があると書いた。

11月9日【トランプと似ている「あの男」】

 あにはからんや、そう思っていたのは私だけではなく、ベルルスコーニ氏本人もそう思っていた。同氏はトランプ氏の勝利後、イタリア紙「コリエレ・デラ・セラ」のインタビューに「実業家としての経歴はまったく違うけれども、類似点があるのは明白だ」と語った。その上で「彼(トランプ氏)もまた人生のある時点で、その能力とエネルギーを国のために捧げることを決心した」とメディア王から政界に進出、約20年にわたってその中枢にいた自身の姿を重ね合わせ、不動産王トランプ氏をたたえた。

 前稿でトランプ、ベルルスコーニ両氏の共通点として①ともに実業家出身②保守政党の政治家③失言、暴言、過激な発言を繰り返し、特に女性差別発言で批判を受けた④トップに上り詰める前は政治と関係の薄いアウトサイダー―などの点を挙げた。しかし、子細に見てみると、2人の間でさらに多くの共通する事象が浮かび上がってくる。いくつか挙げてみると・・・・

 【プーチン・ロシア大統領との関係】

 いずれもワンマン政治家であるベルルスコーニ、プーチン両氏の親しい関係は有名で、ベルルスコーニ氏がサルデーニャ島の豪華別荘にプーチン氏を招くなど緊密な交際を続けた。政策的にもベルルスコーニ元首相は欧米各国が懸念を示すロシアのチェチェン進攻にも寛容だったほか、ロシアとのエネルギー協力にも積極的だった。最近もウクライナ情勢を理由とした米国や欧州連合(EU)の対ロ制裁を「無責任」と批判している。

一方、トランプ次期大統領もプーチン氏を「強い指導者」とたたえるなど対ロ関係改善のシグナルを送っている。

 【テレビを使ったイメージ戦略】

 1990年代の大疑獄事件で多くの有力政治家が捜査対象となるなどして失脚、それまでの政治体制が崩壊したイタリアで94年、新党立ち上げと政界進出を決めたベルルスコーニ氏は自身の所有するテレビ局を最大限活用し選挙戦を戦った。テレビでの出馬演説で自らを旧来の政治家と一線を画すビジネス界出身の実務家と強調。「夢」「希望」「新しさ」とのキーワードを繰り返し、腐敗した政治に嫌悪感を抱き変化を望んだ有権者を引きつけた。同氏が6大テレビネットワークのうち、3つを所有するメディア王であるからこそできた戦略だった。

 トランプ氏もその名前が全米に広がったのは2004年に始まった視聴者参加型テレビ番組「アプレンティス(見習い)」への出演。ホスト役をつとめるトランプ氏が、出来の悪かった参加者をふるい落とす際の「おまえはクビだ」とのせりふは米国で流行語にもなった。大手メディアこそ所有していないものの、テレビ出演により有能なビジネスマン、アメリカンドリームの体現者とのイメージを視聴者の間に植え付けた。

 【離婚歴と女性関係】

 トランプ氏は3度の結婚をしているがいずれも女優かモデル出身。同じくベルルスコーニ氏の前妻ベロニカさんも元女優。ベロニカさんはベルルスコーニ氏の数多くの女性遍歴を非難する公開書簡を新聞に発表、14年に離婚した。=続く

 (47NEWS編集部 太田清)

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