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第2部「介護保険はどこへ」(7)「高齢社会をよくする女性の会」樋口恵子理事長  家族不在に合わせ再構築を

2018.11.20 11:06 市川亨
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 介護保険の現状や課題について、市民の立場から制度創設に関わったNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子理事長(86)に聞いた。
「寛容さが失われ、制度が複雑化している」
「寛容さが失われ、制度が複雑化している」

 

 ―介護保険は導入から20年近くたった。

 「制度がスタートした2000年度以前の状況と比べれば、おおむね成功したと言えるだろう。家族が苦しみながら介護していたが、サービスが定着し、家や施設の中に閉ざされていた問題が社会に開放された」
 
 ―課題は。
 
 「普及に伴い寛容さが失われ、制度があまりにも複雑化している。当初、円滑な導入のためサービスを手厚くした分、給付を絞り込むのは致し方ない面もあるが、国は財政的な事情による抑制を『在宅重視』という美辞麗句でごまかしている」
 
 「一番の問題は、いまだに高齢者と家族が同居しているという前提に立っていることだ。未婚化や少子化により、家族が近くにいない人がどんどん増えている。その前提で制度を再構築すべきなのに、怠っている」
 
 ―訪問介護のうち掃除や調理などの「生活援助」は抑制される方向だ。
 
 「要介護度が軽い人を中心に、誰かの支援があれば家で暮らせるという場合は多い。その支援を引きはがしてしまったら、家族は働けなくなってしまう。介護離職ゼロという政府のスローガンと矛盾している。大きな怒りを禁じ得ない」
 
 ―軽度者への訪問・通所サービスは介護保険から市区町村に移された。
 
 「軽度者こそ社会参加を通じた介護予防が大事だ。コスト低減の必要性は理解するが、国は自治体任せにし過ぎ。保険料を財源にしている以上、サービスを受ける権利があり、地域間で大きな差があるのはおかしい」
 
「介護離職ゼロとの矛盾に怒りを禁じ得ない」
「介護離職ゼロとの矛盾に怒りを禁じ得ない」

 ―介護の現場は人手不足が慢性化している。

 「幼少期と高齢期は誰でもケアが必要になるのに、特に男性はケアということを意識せずに育つ。学校教育に組み込み、政治家を含め人々の意識にケアの重要性を根付かせないと、根本的な解決にはならないと思う」
 
 ―今後、財源をどう確保していくべきか。
 
 「これから日本は『大介護社会』になる。国民も負担を覚悟する必要がある。介護保険の給付費は税金と保険料で5割ずつ賄っているが、税金の割合を増やすべきだ。財源としては、消費税は国民の信頼を失っているので、例えば『国民ケア税』といった完全な目的税を導入してはどうか」
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 ひぐち・けいこ 1932年東京都生まれ。通信社記者などを経て評論活動に入る。東京家政大名誉教授。

 

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