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第2部「介護保険はどこへ」(6)外国人材どう向き合う  政府、なし崩しで拡大 

2018.11.20 11:05 市川亨
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 「東京音頭、一緒に踊りましょうね。ハァ踊り踊るならチョイト…」。日本の介護福祉士資格を持つスリランカ人女性、シローミ・スバシンガ(25)が流ちょうな日本語で歌い出すと、隣に座った高齢女性がリズムに合わせて手拍子を始めた。
 
 埼玉県鴻巣市の特別養護老人ホーム「馬室たんぽぽ翔裕園」。スバシンガは2014年に留学生として来日し、17年春に同市内の介護福祉士専門学校を卒業、このホームに就職した。同年の入管難民法改正により介護職として初めて在留資格が取得できるようになった外国人の1人だ。
 
 「入所者がみんな優しくて人との触れ合いが楽しい。いつか自分の国で老人ホームをつくりたい」と夢を語る。
 
女性入所者に歌いかけるスリランカ人介護福祉士のシローミ・スバシンガ(右)
女性入所者に歌いかけるスリランカ人介護福祉士のシローミ・スバシンガ(右)

 

 慢性的な人手不足が続く介護現場。政府は外国人材の受け入れを徐々に拡大しているが、腰が定まらないまま、なし崩しで広げてきた感は否めない。

 翔裕園では18年現在、約10人の外国人が働いている。その歴史は、日本の外国介護人材受け入れ政策と重なる。08年に始まった経済連携協定(EPA)で来日したフィリピン人を採用したのが10年。介護職での在留資格が取れるようになったスバシンガは第2世代に当たる。そして19年には、介護職種が新たに追加された外国人技能実習制度でベトナムから数人を受け入れる予定だ。
 
 政府はさらにアクセルを踏む。技能実習は本来、途上国への技術移転が目的だが、実習期間が終わった後も日本で働き続けられる道を開く方針だ。「移民政策は取らない」という姿勢で、家族の帯同は認めない考え。しかし、それは一方で「生活者としての外国人への配慮に欠ける対応だ」(外国人労働問題に詳しい指宿昭一弁護士)。
 
 それでも、日本人がなかなか採用できないため、外国人材に対する介護現場の期待は高い。政府の方針を受け、業界では外国人活用ノウハウを伝授するセミナーや東南アジアへの視察ツアーが絶えない。優秀な人材を獲得しようと、争奪戦の様相だ。
 
 ただ、翔裕園の場合は職員の離職率は低く、必ずしも日本人の穴埋めに外国人を採用しているわけではない。翔裕園と同一グループでスバシンガが卒業した関東福祉専門学校の校長、尾島朱美(58)は外国人の積極受け入れに「日本人に問題提起したい」との思いを込めている。
 
 「外国の人が嫌な顔をせず介護してくれるのに、自分たちの国の高齢者を支えなくて、幸せな国になれるんでしょうか」
 
(敬称略、年齢・肩書は取材当時)

 

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