×
メニュー 閉じる メニュー

(29) 「除」 地下に潜む悪い霊を除く

2008.10.11 13:04

 投げ針や入れ墨(ずみ)用針の「辛(しん)」を説明してきたので、今回は「辛」以外の針の字を紹介(しょうかい)しましょう。それは「余」です。

 この「余」には二つの意味があります。一つは旧字「餘(よ)」が示している食べ物が「あまる」意味。もう一つの意味は取っ手のついた長い針のこと。ここで紹介するのは、この取っ手のある長い針「余」の関連文字です。

漢字物語「除」

 まず「徐(じょ)」です。「彳」は四つ角の左半分の形です。「徐」は、その道路に取っ手のある長い針「余」を刺(さ)して地下にいる邪悪(じゃあく)な霊(れい)を除き、その道を安全なものにする文字なのです。そこから「やすらか」「ゆるやか」の意味となりました。

 「除」の「コザト(コザト)」は神が天と地を昇降(しょうこう)するための階段(または梯子(はしご))です。その階段から地上に降りてくる神を迎える土地に取っ手のある長い針「余」を刺して地下に潜(ひそ)む邪霊を除去、新しい聖地としたのです。そこから「のぞく」の意味に。

 このように土地や道は地下に邪悪な霊が潜む危ない所、特に道は危険な場所でした。「余」の関連字ではないですが、危険な道に関係した字を紹介したいと思います。

 それは他でもない「道」です。「道」になぜ「首」があるのか、そんなことを考えたことがありますか? これは奴隷(どれい)の首を切って、その怨(うら)みの力で道に潜む邪霊をお祓(はら)いしながら道を進んだことを示す文字なのです。「シンニュウ(シンニュウ)」は道路を歩いていくことを表す字形です。

 現在の字形「道」には「手」が含(ふく)まれていませんが、古代文字にはちゃんと「手」がかかれたものもあります。現在の字形で「道」に「手」を加えたのが「導」。「寸」は「手」のことです。

 「道」の説明には、まことに残酷(ざんこく)な行為(こうい)が反映されています。でも三千年以上前の古代中国での話です。現代の価値観で考えてはいけません。この「道」の説明は白川静さんの研究では最も有名なものです。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

最新記事

関連記事 一覧へ