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【世界の街から】採り尽くし、経済破綻 “盛者必衰”ナウルの転落

2018.10.10 16:01 共同通信

 オセアニアの地域協力機構「太平洋諸島フォーラム(PIF)」年次総会を取材するため、南太平洋の島国ナウルを訪れた。東京都港区ほどの21平方キロの国土に人口わずか約1万1千人。「世界で最も小さい島国」だ。

 かつて貴重な農業肥料となるリン鉱石を採掘、輸出することで莫大な富を得て、中東の産油国と比べられるほどの財政力を誇ったが、リン鉱石をほぼ採り尽くした今は落ちぶれ、経済も破綻―。

 そう聞いて「どんなところか見てみたい」と思っていたが、通常は取材ビザを申請するだけで8千豪ドル(約65万円)かかるため、訪問機会はないだろうとあきらめていた。それが今回は会議取材を理由に免除され「最初で最後」と乗り込んだ。

 総会の合間に地元非政府組織(NGO)に所属するジュリーさん(60)に島を案内してもらうと、中央部の台地にはリン鉱石を掘り尽くした無残な光景が広がっていた。

 「私たちは島の利益を食べ尽くしてしまった」とジュリーさん。「まだ採掘可能」とする政府の主張には懐疑的だという。荒れ地は岩場で農地に向かず、自給可能な作物もない。

 リン鉱石による収入が国民に還元されていた時代は税金は存在せず、医療費も教育費も無料だったというから驚く。ジュリーさんも返済不要の奨学金でオーストラリアに6年間留学したという。

 それが今は見る影もない。資源の枯渇だけでなく、海外投資にも失敗し、資産のほとんどを失ったとされる。めぼしい産業はなく、生活物資のほぼ全てを輸入に頼る。

 物乞いする人などは見掛けず、国民は助け合って暮らしている様子だったが「盛者必衰」という言葉が頭をかすめた。(共同通信=シドニー支局・板井和也)

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