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(92)「放」 国境で悪い霊を追い払う

2010.4.26 11:24
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 これから何回か紹介(しょうかい)する字は怖(こわ)くて、残酷(ざんこく)な漢字です。でもこれらは古代中国の考え方が反映した行為(こうい)の字です。3千年以上前の考えであることを忘れないでください。

「放」

 その怖い文字の最初は「方」です。この「方」は「木に架(か)けられた死者」の姿です。古代中国では自分の国の辺境に、木に架けた死体「方」を置いて、その死体のまじない的な力で、外側にいる異民族の悪い力が自国に及ばないようにしたのです。

 「放」は、その「方」に「攵」を加えた字です。「攵」の元の字は「攴」で、「攴」の上部「ト」は「木の枝」などのこと。下の「又」は手の形です。つまり「攵(攴)」は木の枝などを手に持って何かを打つ字です。

 その「攵(攴)」で木に架けた死体「方」を打って、死んだ体にあるまじないの力をさらに刺激(しげき)し、その力で、敵からの悪い霊を追い払(はら)おうとしている文字が「放」です。

 これは少し複雑な考え方ですね。敵の悪霊などを直接打って、相手の悪い霊を追い払うのではなく、自分の目の前の死体を打ち、その死体の力で向こう側の敵の悪霊を撃退(げきたい)するという考え方。こういう考え方を「共感呪術(じゅじゅつ)」と言うそうです。

 その行為は間接的な行為ですが、何かを模倣(もほう)しているような感じがあるので、「放」に「人ベン」を加えた「倣」の文字に「ならう」「まねる」意味があるのです。

 今の字形では「方」との関係が分かりにくい字は「辺」です。「辺」の旧字は「邊」です。これは「自」「穴」の下に「方」を書いて、「ニテンシンニュウ」を加えた字です。別な字形ですと「穴」は何かを載(の)せる台のような形です。

 「自」は「鼻」の形。「ニテンシンニュウ」は道路を行く意味の字です。この鼻を上向きにした死体を台の上に載せて、国境あたりに置いて、悪い霊の外からの侵入(しんにゅう)を防ぐ字なのです。

 それは「辺境」「周辺」でのことなので、「辺」に「あたり」「くにざかい」の意味があります。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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