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(130)「危」 崖の上で跪いて下を見る

2011.1.24 10:47

 「厂(かん)」という形をふくむ文字を何回か説明してきましたが、もう一つ「厂」に関係した文字を紹介(しょうかい)しましょう。それは「危険」の「危」です。

「危」

 この「危」にふくまれる「厂」も崖(がけ)などの高い場所のこと。「厂」の上の片仮名の「ク」に似た形は「人」の形です。この場合は崖の上で跪(ひざまず)いて下を見ている人です。元はこの形だけで「あやうい」の意味でした。「厂」の下にある字形も「人」が跪く姿で、「危」は崖の上下に跪く人を書いた形になっています。

 その「跪(き)」は「危」に「足」を加えた形。「危」は高い所に跪いて下の方を見る姿で、そのような姿勢から「跪く」意味の字となりました。

 高い崖の上から跪いて下を見ることは不安定で、危ないものです。ですから「危」を字形の中にふくむ字には「不安定」の意味があります。

 理屈(りくつ)を曲げた議論で人をまどわすことを「詭弁(きべん)」と言いますが、その「詭」は「いつわる」という意味です。そのように話す人の言葉は不安定で危ないのです。

 また弱くてもろいことを「脆弱(ぜいじゃく)」と言います。この「脆」は「もろい」という意味なので、不安定な「危」につながる文字のようにも思えます。

 でも「脆」の元の形は右側の部分が「危」ではなく、「刀」の下に「巴(ともえ)」という形で、「危」との直接の関係はないようです。確かに音読みも「脆」だけは「ぜい」という読み方で違いますね。

 でも「不安定なこと」と「もろいこと」には意味のつながりのようなものを感じることもできますので、元の文字の違いを理解した上で、「脆」が「もろい」を意味する字であることを覚えておくのはいいと思います。

 「厂」の説明の最後にもう一つ、「炭」の紹介をしておきましょう。

 これは「山」「厂」「火」を合わせた文字です。白川静さんは「山の崖の下で炭を焼く」意味の文字だろうと説明しています。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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