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【詳報】<ふるさと情報>「全国初の駅直結サイクリング拠点施設が開業 自治体とJRが連携 茨城」

2018.3.30 7:10
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 茨城県が事業主体となって、土浦市やJR東日本と連携した全国初の駅直結サイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」が3月29日、JR土浦駅ビル内にオープンした。(写真①、施設のパンフレット=PDF=は関連資料として掲載)
 サイクリングコースの玄関口である駅ビルに、サイクリングの拠点施設として、自転車の販売、修理をはじめレンタサイクルやシャワーなどの設備を完備し、沿線市町村への誘客や情報発信基地の機能(写真②)も備えた「官民一体」の地方創生の取り組みだ。県は「交流人口や消費拡大による地域活性化を目指す」としている。(デジタル編成部 小宮山貴志)

 ■拠点施設の目玉
 JR土浦駅の駅ビル「プレイアトレ」(地上5階、地下1階)の1階と地下1階部分に設けられた「りんりんスクエア土浦」。
 1階には、サイクリングに必要なものが全て揃うというサイクルショップ(写真③)。駅ナカでありながら、300台のスポーツバイク(自転車)がお手頃価格の5万円台からそろい、GPS搭載のスピードメーターや機能性と見た目も意識したカジュアルなサイクルジャージーが目を引く。自転車の分解や組み立てができる「ワーキングスペース」(写真④)があり、自転車のレンタルも可能だ。そのほかにサイクリングコースや周辺の観光スポット、イベントを紹介するコーナー、サイクリング仲間が交流できる「コミュニティーゾーン」(写真⑤)も設置され、「情報発信基地」としての役割も備えている。

 地下1階には、男女別の「シャワールーム」(写真⑥)や更衣室などが配備され、サイクリング後にはきれいさっぱり汗を流せる仕掛け。約190台収容可能な「駐輪場」や「無人のレンタサイクルコーナー」(写真⑦)も用意されている。

 駅ビル自体も注目の的だ。現在、全館リニューアル中で、今回オープンするのは1階と地下1階部分だけだが、どのフロアも床にペイントされた「青い線」に沿って自転車をそのまま押して歩けるようになっており(写真⑧)、既存の駅ビルとは全く異なるまさに「サイクリストのための駅ビル」の誕生だ。自転車で乗り付け可能な「サイクルカフェ」(写真⑨)やコンビニ、ドラッグストアも同時にオープンした。これから順次、地ビールや地酒をふるまう「ローカルフードマーケット」が完成し、来年秋には自転車をそのまま部屋へ持ち込める「サイクリングホテル」が開業する予定だ。

 ■自転車のまち土浦
首都圏から電車で1時間以内という土浦市。JR土浦駅を中心として、東に「霞ケ浦一周コース」(全長140キロ)、西には鉄道の廃線跡から誕生した「りんりんロード」(同40キロ)が走り、2016年に両ロードコースが一体的に整備されて、東西180キロの「つくば霞ケ浦りんりんロード」となった。平らで走りやすく(最大標高差約51メートル)、周辺に筑波山を臨む風光明媚(ふうこうめいび)なコースの特長から、これまで周辺地域では「霞ケ浦一周サイクリング大会」「ツール・ド・つくば」などサイクリングイベント(参加者500人以上)が毎年、開催されている。

 統一された路面標示や多言語表記にも対応し、外国人観光客にも配慮されている。周辺には民間の協力を得て「休憩スペース」が提供され、飲食店やホテルがサイクリスト向けに割引サービスを行っている。手ぶらで現地を訪れても「レンタサイクル施設」が八カ所存在するので気軽にサイクリングを楽しめるということで、土浦市は「自転車のまち」として市民に浸透している。

 ■サイクリングが地域活性化のキーワード
 2016年12月に自転車を走らせる環境の整備や改善を目的とした「自転車活用推進法」が成立したことに合わせ、公益財団法人・日本サイクリング協会は国内外に向けて推奨するサイクリングコースとして「日本サイクリングコース100選」を紹介する事業を進めている。協会によると、サイクリングが自治体にとって地方創生の重要な「キーワード」になりつつあるという。

 「つくば霞ケ浦りんりんロード」のほか、「しまなみ海道サイクリングコース」(愛媛県~広島県)、「琵琶湖一周サイクリングコース」(滋賀県)が「100選」にラインアップされているが、いずれも自治体が中心となって景観を生かしたサイクリングコースが整備され、国内だけでなく、海外の観光客を意識した取り組みを進めている。

 「しまなみ海道」を売り出した愛媛県は、「自転車新文化推進室」という専門の部署をつくり「自転車先進県」として「地域活性化」に取り組んでいる。愛媛県によると、「マラソンやジョギング大会は『その日(イベント当日)だけの地域活性化』だが、サイクリング大会は一年中来てもらうための仕掛けにつながる」とメリットを強調。「長い距離を一日中走っても体へのダメージが少ないから遠くまで行けるし、県境を越えた広域連携にもつながる」と説明する。実際に「知名度の向上でインバウンド(訪日外国人客)が増え、周辺に店を開く移住者も増えてきている」という。

 ■地元の期待とJR、駅ビルの挑戦
 今回の駅ビルを中心としたプロジェクトは、国の「地方創生拠点整備交付金」を活用した茨城県と沿線市町村の活性化を狙った事業だが、JRや関係者にとっては「駅ビルの再活性化」へのチャレンジとも言える。
 
 JR土浦駅は首都圏から近いだけでなく、茨城空港からもバスと電車を乗り継いで1時間以内とアクセスもいいので、地元としてインバウンドへの期待も大きい。茨城県の大井川和彦知事は29日の開業式典で「都心に近くて自由にサイクリングが楽しめる場所として、注目度が上がるのではないか」とあいさつ(写真⑩)。地元の土浦市長も「この施設を積極的に活用することで更なる活性化を図っていきたい」と強調した。また、土浦市観光協会の中川喜久治会長も「関東圏は自転車愛好者が多い地区なので、土浦を知ってもらういい機会だ。今日をスタートに近隣の市町村と県が一緒になり、われわれ観光協会としてもチャンスを最大限に活用したい」と話している。

 一方、駅ビルを管理運営する株式会社「アトレ」によると、駅ビルが大胆にサイクリング施設としてリニューアルする経緯について、土浦地域がバブル期以降、道路の沿線に大型ショッピングセンターが多数出店して、従来の「物販主体」の駅ビルの運営形態をとることが厳しくなった状況を説明している。また、「つくばエクスプレス(TX)」(東京・秋葉原~茨城・つくば)が2005年に開通してからは、沿線開発が進んで人口も流れ、土浦駅前は特に衰退が大きくなったようだ。
 「アトレ」の一ノ瀬俊郎社長は開業式典で「これからは『体験』を売る、『感動』を売るショッピングセンターとして生まれ変わっていきたい。うまくいくかわからないが、なんとかそれを形にしていきたい」と決意を述べた。JR東日本の平野邦彦執行役員は「やや疲弊していた駅ビルが、この町の玄関口として再スタートした。JRとしても施設のリーフレットを多数つくって首都圏に置き、連携してサイクリストの拠点になるように頑張っていく」とバックアップする姿勢だ。
 ①開業式典でのテープカット
 ①開業式典でのテープカット

 ②沿線自治体の観光スポットやイベントを紹介するパンフレット
 ②沿線自治体の観光スポットやイベントを紹介するパンフレット

 ③サイクルショップ
 ③サイクルショップ

 ④ワーキングスペース
 ④ワーキングスペース

 ⑤コミュニティーゾーン
 ⑤コミュニティーゾーン

 ⑥シャワールーム
 ⑥シャワールーム

 ⑦無人のレンタサイクルコーナーやロッカー
 ⑦無人のレンタサイクルコーナーやロッカー

 ⑧駅ビルの床にペイントされた「青い線」
 ⑧駅ビルの床にペイントされた「青い線」

 ⑨自転車で乗り付け可能なサイクルカフェ
 ⑨自転車で乗り付け可能なサイクルカフェ

 ⑩あいさつする大井川和彦知事
 ⑩あいさつする大井川和彦知事


「りんりんスクエア土浦」パンフレット②.pdf
「りんりんスクエア土浦」パンフレット①.pdf
 

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