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(137)「幸」 手の自由を奪われるだけ

2011.3.22 17:23

 古代中国での裁判は神様の前で誓(ちか)い、神の裁きを受ける神判というものでした。その神判で敗れた者は殺されて、神への誓いの言葉を入れた器とともに捨てられて水に流されてしまいます。それが「法」の字であることを前回紹介(しょうかい)しました。

「幸」

 もちろん殺してしまう以外にもいろいろな刑(けい)がありました。目を傷つける刑も、入れ墨(ずみ)を加える刑もありました。

 紀元前の中国の斉(せい)の国の王様があまりに足切りの刑が好きで、市場では普通(ふつう)のくつが安くなり、義足の値段が上がったという話があるそうです。

 さて、そこで紹介したい文字が「幸」です。これは、現代でいえば手錠(てじょう)、古代中国の手かせの形です。古代文字を見れば手錠・手かせの形であることがよく分かります。

 多くの刑の中で、生命や身体の一部を失うことがない手かせをはめられて、手を使う自由だけを奪(うば)われる刑である「幸」は、とても「しあわせ」だったのです。

 そして、この「幸」をふくむ字の多くに手錠・手かせの意味があるのです。「執(しつ)」の「丸」の元の字形は「けき(けき)」という形です。この「けき」は両手を差し出している形。

 つまり両手に手かせをはめた姿が「執」で、罪人をとらえる意味です。のちにすべてのものを「とらえる」「とる」意味になりました。

 「報」の右側の字形はひざまずいている人を表している「卩(せつ)」に「又(ゆう)」(手)を加える形です。これはひざまずく人をおさえる姿で「服従」の「服」の元の字です。

 この「卩」「又」と「幸」を合わせた「報」は両手に手かせをはめている者を後ろからおさえる形です。犯罪に対する報復的行為で、それを「報」と言います。ここから「お返しする」「むくいる」意味になりました。

 また「圉(ぎょ)」の字もあります。学校で習う字ではないので、理解するだけでいいと思いますが、これは罪人を入れる牢屋(ろうや)のことです。

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