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「裏切り者」に使われた史上最強の神経剤「ノビチョク」とは何か

2018.3.13 11:29 共同通信
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ロシア元情報機関員らが意識不明の状態で見つかった現場で捜査する英国当局者ら=8日、英南部ソールズベリー(ロイター=共同)
ロシア元情報機関員らが意識不明の状態で見つかった現場で捜査する英国当局者ら=8日、英南部ソールズベリー(ロイター=共同)

 英南部ソールズベリーで元ロシア情報機関員らに使われた毒物は、旧ソ連が化学兵器として開発した神経剤「ノビチョク」だった。英国のメイ首相は12日、下院でロシア関与の可能性が「極めて高い」と指摘し、駐英ロシア大使を呼び説明を求める方針だが、ロシア側は「でたらめ」(外務省情報局長)と、関与を否定している。2006年のアレクサンドル・リトビネンコ氏暗殺事件に続く、ロシアの関与が疑われる毒物による暗殺事件で、同国と英国など西側との関係悪化は必至だが、ノビチョクとはどのような神経剤なのか。英BBC放送の報道などから探った。

 ロシア語で「新人」「新米」との意味を持つノビチョクは1970~80年代に開発された「第4世代の化学兵器」で、主な開発・製造拠点はウズベキスタン西部のヌクス。マレーシアで昨年2月、北朝鮮の金正男氏殺害に使われ、最強の化学兵器とされたVXの5~7倍の致死性を持ち、人間の神経伝達機能を阻害して死に至らせる神経剤としては、最も毒性が高いとされている。人間が吸引したり肌に付着したりすれば最短30秒で効果が表れるなど、即効性にも優れている。

 北大西洋条約機構(NATO)との軍事衝突を想定し、NATO側の探知機に察知されず、防護服など防御装備にも浸透する兵器を目指したが、開発目標が達成されたかどうかは不明。大きな特長は2種混合型化学兵器である点で、より毒性の少ない前駆体を混ぜ合わせることにより、強毒性の物質に変えることができる。実行犯は自らが中毒になる危険を冒さずに容易に毒物を目標の地点まで運搬できる。また、前駆体は化学兵器禁止条約(CWC)で規制される物質を使わずに製造できることから、事前に査察されたとしても化学兵器の製造意図が発覚しないとの利点も併せ持っている。これまで知られている治療薬も効果がないという。

 リトビネンコ氏暗殺と同様に、製造工程が複雑で、一般には存在しない極めて珍しい毒物を使ったことで、ロシアの関与が容易に推定できるにもかかわらず、なぜ実行犯が殺害のためノビチョクを選んだのか謎が残る。あえて、ロシアの関与を明確にすることで、スパイなどロシアへの「裏切り者」に警告する意図があったのと指摘も出ている。 (47NEWS編集部 太田清)