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クラブチームの国際交流を アジアのレベル向上目指せ

2014.5.1 9:45 生沢 浩 いけざわ・ひろし
日本―フィリピン、優秀選手に選ばれたDLスアレス=撮影:Yosei Kozano、26日、アミノバイタルフィールド
日本―フィリピン、優秀選手に選ばれたDLスアレス=撮影:Yosei Kozano、26日、アミノバイタルフィールド

 4月は久しぶりの日本代表戦が2試合開催された。来年7月にスウェーデンのストックホルムで開催される第5回世界選手権に向けていよいよ活動が本格化してきた。

 日本の目標はアメリカ、カナダと対等に渡り合えるチームを作り、世界一の座を奪還することだ。しかし、ドイツ代表との親善試合もフィリピン代表とのアジア地区予選も残念ながら実力差がありすぎて一方的な展開となり、仮想アメリカ、カナダにはほど遠い試合だった。

 今回の日本代表はあえて若い選手を多く招集した。それは、これまで国際試合の経験のない選手に、体格の大きい外国選手と対戦するチャンスを与えたいという森清之ヘッドコーチ(HC)の意図が反映されたためだ。

 ドイツ戦ではそれが実現できたが、日本人と体格の似ているフィリピン戦ではフィジカル面で日本が不利になる場面は皆無だった。

 最近でこそXリーグや大学フットボール界に外国人選手が在籍し、そのフィジカルな強さを体験する機会が増えてきた。それでもまだ日本人選手のフィジカル強化という面では十分ではない。

 代表チームも毎年組織されるわけではなく、しかもアメリカやカナダと対戦する機会は4年に1回の世界選手権本戦以外にはほとんどないのが現状だ。

 そこで提唱したいのがクラブチーム同士の国際交流だ。

 オービック・シーガルズなどは既に単独でドイツ遠征を行った経験があるが、ほかのXリーグのチームや大学のチームが海外のチームと対戦する機会があれば、そのチームに所属しているアメリカ人やカナダ人選手と対戦する機会に恵まれることになる。

 筆者は日本対フィリピン戦の前日にフィリピンチームの練習を取材した。フィリピンはいわゆるタックルフットボールが紹介されてから日が浅く、フットボール協会が組織されてからまだ4年しかたっていない。

 だから、今回来日した代表チームにはフットボール経験が2年未満という選手が大半で、なかには日本戦が生まれて初めての公式戦だという選手もいたのだ。

 ところが、一方ではRBジョナサン・ババラン選手のようにアメリカで育ったために本場でのフットボール経験のある選手もいる。

 DEでフィリピンチームのMVPに選出されたフアン・パブロ・スアレス選手や、アメリカ国籍のため今回は選手として代表入りできない代わりにHCを務めたウィリアム・イェーHCらも、アメリカでのプレー経験があるそうだ。

 スアレス選手とイェーHCは、フィリピンリーグで4年連続優勝している強豪バンディッツのチームメートで、そのチームにはアメリカ人やカナダ人が在籍しているという。

 そして、似たような構成のチームはフィリピンだけでなく、香港などにも存在するそうだ。

 こうしたチームと日本のチームが交流すれば、体格に優れた選手との対戦も経験できるのではないだろうか。例えばオービック対バンディッツの試合など、それぞれの国の王者が戦う試合は興味深い。

 そして、ゆくゆくはアジア各国のリーグで優勝したチームによるクラブ選手権などが開催されればアジアでのフットボールがさらに盛んになり、相互のレベルもアップするだろう。

 練習後にフィリピンのフットボール事情を筆者に詳しく話してくれたスアレス選手は、代表チームではなく、むしろバンディッツとして日本と戦いたかったようだ。

 筆者が「いずれクラブチャンピオンシップが開催されるようになるといいね」と言うと目を輝かせて、「それだ! いつかXリーグのチャンピオンと試合がしたい」と述べていた。

 よほどそのアイデアが気に入ったのだろう。スアレス選手は自らも出席したアジア地区予選後の記者会見が終わるや否や、森HCに歩み寄って「フィリピンリーグのチャンピオンとXリーグのチャンピオンの試合をやろうじゃないか」と提案していた。森HCは突然の申し出に驚きながらも、「面白いですね」と応じていた。

 費用の問題や日程調整など実現には多くの課題が立ちはだかる。しかし、実現すればフットボールの国際交流の新しい形が生まれる。フットボールの発展とマーケット拡大にも意義のあるものとなるだろう。

試合後の記者会見に臨むスアレス=撮影:Yosei Kozano、26日、アミノバイタルフィールド
試合後の記者会見に臨むスアレス=撮影:Yosei Kozano、26日、アミノバイタルフィールド
生沢 浩 いけざわ・ひろし

名前 :生沢 浩 いけざわ・ひろし

プロフィール:1965年生まれ。上智大卒。英字新聞ジャパンタイムズの運動部長を経て現在は日本社会人アメリカンフットボール協会の事業部広報兼強化部国際戦略担当。大学時代のアメリカンフットボール経験を生かし、フットボールライターとしても活動。NHKーBSや日テレG+でNFL解説者を務める。大学時代のポジションはRB。日本人で初めて「Pro Football Writers of America」の会員となる。

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