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「世界一の金持ち」に筆者がした失礼な質問

2018.3.7 14:45
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発表会で話すジェフ・ベゾスCEO=2012年9月6日、米ロサンゼルス近郊
発表会で話すジェフ・ベゾスCEO=2012年9月6日、米ロサンゼルス近郊

 インターネット通販アマゾンと言えば、日本でも多くの人が利用したことがあるはずだ。当初は書籍が中心だったが今や、電化製品や日常品などあらゆるものを扱い業界最大手に成長した。米国のアマゾン・コムの創業者で最高経営責任者(CEO)がジェフ・ベゾス氏(54)。米誌フォーブスは6日、2018年版の世界の長者番付を発表し、ベゾフ氏が保有資産1120億ドル(約11兆8千億円)となり、米IT大手マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の900億ドルを抜いて初のトップとなったことを明らかにした。

 ベゾフ氏はアマゾン株を16%保有し、株価上昇で資産が膨らんだ。アマゾンは企業価値を示す株式時価総額でも2月、マイクロソフトを抜いた。日本企業で最大のトヨタ自動車の3倍超にもなる。

 業績も好調で、直近の17年10~12月期決算では、主力の北米市場でネット通販の収益が拡大。クラウド事業も好調を維持し売上高は38%増の604億5300万ドル、純利益は2・5倍の18億5600万ドルで過去最高となった。

 ベゾフ氏が「世界一の金持ち」となったとのニュースを聞き、思い出したのが同氏へのインタビュー。経済部に所属していた2000年、来日を機に東京でインタビューした。その時の原稿を読み返すと、われながら失礼な質問をしてしまったものだと思う。

 初めて会ったベゾフ氏は私と同年代でまだ若く、エネルギッシュな話しぶりで、大きな声で笑う姿が印象に残っている。時はITバブル崩壊直後で、アマゾン・コムも業績への不安から株価が低迷。質問はアマゾンの業績と黒字の見通しに集中した。

「今年末にも資金が枯渇するとの予測で株価が下がっている」「営業開始以来、利益を出していない」「いつ利益が出るのか」など、ずばずば聞いた。最初は笑顔で答えていたベゾフ氏もだんだんと顔がこわばっていくのが感じられた。「ネガティブなことばかり聞く、嫌な記者」と思われたかもしれない。

 今から振り返ると、目先の利益ばかりを重視し、ジャーナリストとして先見の明がなかったのは筆者の方だった。

 「わが社は利益が出ないことで有名だが、これは意識して行っていること。当初の書籍販売以外にも、おもちゃや音楽ソフトなどの分野のほか、ドイツなど海外での事業にも投資しており、将来的に必ず利益が出る」と答えたベゾフ氏だが、結果は同氏の言うとおりだった。赤字を垂れ流し続けてきたと批判されたアマゾンは、この間、巨額投資で自社の倉庫など独自の流通網を整備し、豊富な品揃え、欠品の少なさ、迅速な配送という同社の強みを遺憾なく発揮するようになった。在庫を抱えない身軽な経営を売り物にしたライバルとの競争に打ち勝ち、世界最大の通販サイトとなった。

 2000年11月から始まった日本での事業についても「長期的には、日本を含む世界での展開を考えているが、具体的にいつとは言えない」と言葉をにごされた。インタビュー当時は既に、日本展開がほぼ決まっていたとみられることを考えると、この点でも記者を煙に巻いた形となった。 (47NEWS編集部 太田清)