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(206)「遊」 神様が自由に行動する

2012.8.2 11:22

 家族で行く旅。一人旅。出張(しゅっちょう)の旅。たくさんの旅がありますが、子ども時代の旅は、いろいろな所で遊ぶことができるので楽しいですよね。

kanji206.gif

 この「旅」という字と「遊ぶ」の「遊」の字、パッと見て、何となく似(に)ていませんか? これは「遊」から「sakuji206_1.gif(道の首を取る(シンニュウ)) (しんにゅう)」と「子」を除(のぞ)いた形が「旅」にもあるからです。同じ形は「旗」や「族」にもあります。その紹介(しょうかい)です。

 これらに共通する字形は、吹(ふ)き流しをつけた旗竿(はたざお)のことです。それに「子」を加えた形が「sakuji206_2.gif(遊のシンニュウを取る) (ゆう)」です。この場合の「子」は人の意味で、「sakuji206_2.gif(遊のシンニュウを取る)」は吹き流しのついた旗竿を持つ人のことです。

 この旗には、一族の霊(れい)が宿っていると考えられていました。その旗をおしたてて行くことが「sakuji206_2.gif(遊のシンニュウを取る)」です。この「sakuji206_2.gif(遊のシンニュウを取る)」が「遊」の元の字です。

 その旗に宿る神様の霊が行くこと、気ままに行動することから「あそぶ」の意味となったのです。それに行くことの意味の「sakuji206_1.gif(道の首を取る(シンニュウ))」を加えて「遊」という字になりました。

 漢字学者の白川静さんが一番好きな文字が、この「遊」でした。その「遊」は神様が自由に行動するという意味でしたが、後に人間が心のおもむくままに行動して楽しむ意味となったのです。

 「旅」の吹き流しのついた旗竿を除いた部分は「从(じゅう)」の字形です。「从」は「人」の複数(ふくすう)形で「従(じゅう)」の旧字(きゅうじ)「從」などにもあります。「旅」の場合は多くの人の意味。つまり「旅」は先祖(せんぞ)の霊が宿る旗を掲(かか)げて、多くの人が出て行くことです。

 でもこれは今の旅行のことではありません。今でも軍の単位に「旅団(りょだん)」がありますが、この「旅」も軍隊・軍旅のことです。戦争で旗を掲げて遠くに行くので「たび」の意味となりました。

 「旗」は吹き流しに四角い旗をつけた「軍旗」です。そういう先祖の霊を共有する一族を氏族といいます。その氏族たちが「旗」の下で「矢」を折るしぐさをして、氏族の一員として誓(ちか)う文字が「族」です。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

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