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王者アラバマ大が1位 2017年度AP通信最終ランキング

2018.1.31 13:40 丹生 恭治 にぶ・きょうじ
2017年度のAP通信最終ランキングで1位に輝いた白いジャージーのアラバマ大(AP=共同)
2017年度のAP通信最終ランキングで1位に輝いた白いジャージーのアラバマ大(AP=共同)

 

 1月8日のアラバマ大とジョージア大の選手権決勝を終えて、AP通信とUSAツデーが相次いで2017年度の最終ランキングを発表した。

 念のため説明しておくが、APは米国全土のベテランフットボール記者約60人に依頼して、毎週ランキングを投票してもらい、それを集計して上位25校を発表する。

 USAトゥデーも同様に、有力校の監督、コーチを約60人全米からピックアップしランキング投票を依頼し、毎週その集計の上位25校を発表している。25校連記で、1位25点、2位24点、3位23点…24位2点、25位1点というのも昔から変わっていない。

 

 選手権大会直後に発表されたものは、まさしく今季2017年度の最終版である。ただ、選手権大会の結果とは矛盾しないよう投票者に気配りを求めているのはいうまでもない。

 ランキングはご承知の通り、1位に選手権の王者アラバマ大が位置し、一歩及ばなかったジョージア大が2位に続き、3位オクラホマ大、4位クレムソン大と、選手権大会出場校が行儀よく並ぶ。

 そして5位にオハイオ州立大。つまりここまで両方のランキングとも全く同じ大学が同じ順序で並ぶことになった。

 念のため上位5校の勝敗を並べておく。アラバマ大13勝1敗、ジョージア大13勝2敗、あとの3校はそろって12勝2敗だ。

 

 しかし、今回に限ってランキングを取り上げたのは、ここから先の順位に話題があったからにほかならない。

 あらためて順位を見る。USAトゥデーは6位にビッグ10で13勝1敗の好成績を残したウィスコンシン大が入り、続いて13戦全勝の中央フロリダ大、11勝2敗のペンシルベニア州立大と続いた。

 一方AP通信は中央フロリダ大、ウィスコンシン大、ペンシルベニア州立大の順だった。
この程度の食い違いなど、何も珍しくはないのだが、注目すべきはその中味だった。つまり1位票である。

 通常シーズンの終盤で、1位票が大きく分散するなどという現象はまず起こらないのが普通である。

 事実、監督投票では62人全員がアラバマ大を1位に推し、25点✕62で満点の1550点がアラバマ大に記録されている。ところがAP通信では投票者61人のうち57人がアラバマ大に入れ、残りの4人は何と中央フロリダ大へ1位票を投じていたのである。

 
 この結果、AP通信のランキングの順位に、どれほどの影響が出たかは不明だが、首位のアラバマ大が満票の栄誉を逸したことだけは確かである。

 

 今から30年以上昔がよみがえる。名古屋から本社へ転勤になった1985年の冬。全米大学体育協会の(NCAA)フットボール部門の1部Aの上位争いは大激戦を演じていた。

 開幕当初はオクラホマ大が首位だったが、秋半ばからペンシルベニア州立大が調子を
上げて先行し、あらためてオクラホマ大が追う形となっていた。

 最後にこの首位争いはボウルゲームへなだれ込み、1月1日のオレンジボウルで両校が激突した。そして、バリー・スウィッツアー監督率いるオクラホマ大が、ジョー・パターノ監督率いるランク首位のペンシルベニア州立大を25―10で破り、11勝1敗でランク1位の座を奪取し、この年のチャンピオンとなった。

 

 オレンジボウル後のランキングは、当然のことながらAP通信はオクラホマ大が満票でトップだった。

 しかし、監督投票を主催していたESPNのランキングは、1位票が1票だけオクラホマ大以外の大学に投じられて、話題を集めていた。その1位票が舞い込んだのがサンノゼ州立大だった。

 サンノゼ州立大は当時の太平洋岸体育連盟(PCAA)に所属し、この年は7戦全勝でリーグを制し、外部とは4勝1分けと黒星なしの好成績を残していた。

 

 実はペンシルベニア州立大はオレンジボウルでオクラホマ大に苦杯を喫するまで、全勝をキープしていた。土つかずの夢がここで頓挫した。

 カリフォルニアボウルでサンノゼ州立大に敗れたボーリンググリーン大もまた、このボウルゲームでこの年唯一の無念の黒星を喫した。つまり負け星0の成績でシーズンを終えた1部Aのチームは、サンノゼ州立大ただ1校だったというわけである。

 

 1位票を投じた監督はこの土つかずを強調した。「負けないということが、どれほど難しいものか、諸君もよくご存じのはずだ」。記者団に取り囲まれたこの投票者はこう話したと伝えられている。

 実はこの投票者こそオクラホマ大のスウィッツアー監督だった。素直に自らのチーム、オクラホマ大に1位票を入れていれば、満票の栄誉を手に入れていた。

 だが、その自ら指導したチームを差し置いて、わざわざサンノゼ州立大へ1位票を入れたのである。これを見識と見るか、それとも気取りと見るか。この年の「タッチダウン誌」に私が「このへんが意見の分かれ道ではないか」と書いたのを今でも思い出す。

 

 今回の中央フロリダ大への1位票の投票が、監督投票ではなく記者投票だったことにも驚いている。それも4票も。

 計算から見て、この4人の記者が2位にアラバマ大を推しているのは、間違いのないところである。見落としているかもしれないが、この4人がアラバマ大ではなくて、中央フロリダ大を選んだ理由についての記事はなかった。

 ただ中央フロリダ大がNCAAのフットボール部門のボウル・サブディビジョン(FBS=旧1部A)130校の中で、唯一全勝だったことは確かである。

 無論、1985年度のスウィッツアー監督のご意見以上のものは出てこないだろうが。

丹生 恭治 にぶ・きょうじ

名前 :丹生 恭治 にぶ・きょうじ

プロフィール:1934年生まれ。関西学院大学卒業後、東京新聞社で運動記者としてスタートし、1962年に共同通信社へ移籍。著書に、中学時代から関学で親しんだアメリカンフットボール生活を描いた「いざいざいざ」がある。甲子園ボウルには高校時代と合わせて6度優勝。

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