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「生の音楽」を街に 瀬戸内の海と空が演出  街角に音楽を@香川(第6回優秀賞、高松市)

2018.1.30 14:08
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源平の古戦場として知られる高松市の屋島で開かれたライブ=2017年8月
源平の古戦場として知られる高松市の屋島で開かれたライブ=2017年8月

 

「この地だからこそ、できたのかもしれない」。「街角に音楽を@香川」の鹿庭弘百・代表理事は話す。地元・高松市で〝生の音楽〟を体験できる機会を増やそうと、2007年から活動をスタート。コンサートだけでなく大道芸やフラダンスなど多彩なイベントを重ねてきた実績を振り返り、手応えを感じている。

 ▽街の変わり目に直面

 高校生で高松市を離れて上京した。小さな頃から音楽好きで大学を卒業し就職した後も、ドラムの演奏から離れず、一時はプロを目指したこともあったという。しかし、家業を継ぐことになり、40歳を前に帰郷した。

 久しぶりに戻った高松市の街は、大きな変わり目に直面していた。家業を営んでいた丸亀町商店街の再開発が進行。現代的なデザインのアーケード街に一新され、商店だけでなく住宅や医療機関も集まり、商店街の新たなモデルとして注目を集める存在になった。

 「一方で、街が急速に変わることに寂しさをいう声も聞いた」と、鹿庭さんは話す。新しい街にふさわしい、新しい豊かさは何だろう―。思い当たったのは、やはり音楽だった。すばらしい演奏に触れる機会をつくることで、新たな地方の文化が育つきっかけにしたい。思いを共有する仲間との活動が始まった。

 

フランスのグループが繰り広げたパフォーマンスは人気を集めた=2017年8月
フランスのグループが繰り広げたパフォーマンスは人気を集めた=2017年8月

 

 ▽フラダンス、大道芸と多彩なジャンルに

 瀬戸内海の島々で2010年から始まった「瀬戸内国際芸術祭」も、刺激となった。訪れたアーティストが語る地域の美しさが、住む人の誇りを高めた。鹿庭さんは「私たちもできる」と感じたという。瀬戸内の空気感と音楽が化学反応を起こし、何かが生まれるとの思いを込めて、活動のテーマに「ミュージックブルー」を掲げた。

 11年からは5月のゴールデンウイークに、高松市内の各地でコンサートを開くイベントをスタート。商店街の広場などさまざまな場所でジャズやポップスなど多彩な音楽を演奏。17年には3日間で、70組計400人を超えるアーティストが出演し、2万6000人余りの観客を集めた。

 源氏と平家の古戦場として知られる屋島で開く夏のライブも定着。瀬戸内海に沈む夕日を眺めながら聞く音楽は、観客だけでなく参加アーティストにも感慨深いという。

商店街など高松市内のあちこちで演奏が行われた「高松ミュージックブルーフェス2017」=2017年5月(写真はいずれも「街角に音楽を@高松」提供)
商店街など高松市内のあちこちで演奏が行われた「高松ミュージックブルーフェス2017」=2017年5月(写真はいずれも「街角に音楽を@高松」提供)

 

 フランスのグループがダンスなどのパフォーマンスを繰り広げたり、フラダンスのグループが踊りを披露したりと、イベントは幅を広げてきた。さまざまな大道芸が商店街などで披露されるフェスティバルは17年秋に8回目を迎え、6万人余りが参加した。

 培った人脈を生かし、イベントには内外の一流アーティストも招いてきた。アーティストが小学校で行う演奏会も続けてきた。こうしたフォーマンスを見て、自分たちもやろうと、大道芸などに参加する若者グループも増えてきたという。

 「観光は外に向けた取り組みとされる。しかし、まずは地元の人が楽しんでいるかが大事」と、鹿庭さんはみる。活動を重ねるにつれ、地域のさまざまな人とのつながりが生まれ「街への希望が出てきた」と力を込めた。(共同通信 伊藤祐三)

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