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福島・常磐ものの魚介を満喫 試験操業で水揚げ【GOHAN特製原稿】

2014.10.20 12:44 共同通信
会席料理「復興への希望」
会席料理「復興への希望」

 未曽有の被害を生み出した東日本大震災から3年半余り。福島県沖の魚は「常磐もの」として評価されてきたが、福島第1原発事故の影響で、今、現地の漁業はどうなっているのか。相馬市の松川浦漁港の試験操業を視察、地のものだけを使った料理の試食をした。

 訪ねたのは50年の歴史を持つ料理旅館「なぎさの奏(かなで) 夕鶴」。遠藤渓正調理長が工夫を凝らした会席料理、名付けて「復興への希望」を味わった。

 先付は、つぶ貝の3点盛り。マヨネーズ添え、うま煮と、つぶ焼き。貝のうま味を見事に引き出しており、中でも、つぶ焼きはたこ焼き風に粉でくるんだ意外な調理法で、少し驚く。

 前菜はアンコウのとも和え、タコのマリネ、塩辛の三品。お造りはマイカとサワラ。陶板焼きはイカと地物野菜の肝入り味噌バター焼き。肝の濃厚な味とイカ、そしてエノキとシメジが絡み合い、抜群のコンビネーションだ。

 焼き物はアカジガレイ。みっちりと肉厚の身に大きな卵が詰まっている。身をかみしめると歯にぎしぎしと当たる。塩だけの淡泊な味付けだが、「魚を食べている」という実感がこみ上げる。

 炊きものはイカと大根、里芋。蒸し物はタコ真丈のあんかけ。小名子入りのかき揚げはサクッとした上に磯の香りが好もしい。締めのご飯はタコ飯。コシヒカリの甘さとご飯に染みたタコのエキスの味と香りで、箸がぐんぐんと進む。

 ただ、メニューの食材のだぶりを見れば分かるように、使えるものは限られている。水揚げされる魚の種類も量も少ないため、「復興への希望」は一般のお客さんには提供できないという。そのため、一般客には地元産の魚介を3品ほど入れ、残りはほかの地域の食材を使ったコースを出さざるを得ないという。

 女将の坂本浩子さんは「宿泊客は震災前に比べて4割減りました」と話す。しかも、被災地の視察客ばかりで「観光のお客さんはほとんどゼロ」という。だが、「相馬の魚はほかと味が違う。なるべく地元のものを入れて、地道にこつこつやっていきたい」と前向きだ。


■水揚げされたカレイを仕分ける女性たち
■水揚げされたカレイを仕分ける女性たち

 松川浦漁港の水揚げ作業を見学した。カレイ、アジ、アンコウ、カナガシラ、マイカ、ヤリイカ、ミズダコなどが揚がり、女性たちが手際よく仕分けしている。国のセシウムの残留基準は1キログラムあたり100ベクレル以下だが、県魚連は自主基準として50ベクトル以下に設定。試験操業が始まった2012年6月には対象魚種は3種だけだったが、現在は51種に増加。同漁港で揚がる魚介のほとんどが今では検出限界以下になっているという。だが、震災前の約150種には遠く及ばない。

 相馬双葉漁協の遠藤和則本所部長は「市場に流通させるものは、全てモニタリングしている。二重、三重にチェックしているので、安全だとアピールしてほしい」と言う。福島県農産物流通課の金子達也課長は「風評被害は容易ではないが、常磐もののおいしさのプロモーションに力を入れたい」と話していた。

 

 

中村彰@福島・相馬(47NEWS)
住所  :福島県相馬市尾浜追川147
電話番号:0244(38)7111

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