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徳島とメキシコの関係 食べ物に酸味を欲する 何にでもスダチやライム【GOHAN特製原稿】 

2015.9.7 15:11 共同通信
スダチビア
スダチビア

 メキシコに2年間住んだ。住み始めてしばらくすると、徳島人とメキシコ人の共通点に気が付いた。食べ物に酸味を欲する、という特徴だ。

 とにかく何にでもスダチを搾る徳島人。焼き魚や唐揚げにスダチを搾り、うどんやそうめんにはスライスしたスダチを浮かべる。みそ汁にさえ浮かべる。

 そして、とにかく何にでもライムを搾るメキシコ人。もちろん、タコスには搾る。スープにも搾る、浮かべる。ありとあらゆる料理にライムが欠かせない。徳島にいても、海を渡って、遠く離れたメキシコに行っても、酸っぱい緑のやつを搾る人ばかりに囲まれる、というのがどうやら私の運命らしい。(どうでもいいが。)

 メキシコにはカンティーナと呼ばれる大衆酒場、つまりイギリスでいうパブのようなものがある。お店に入って、ビールを頼むと「ミチェラーダ?」と決まって尋ねられる。「では、ミチェラーダで」と応えると、ライム入りの生ビールを持ってきてくれる。グラスの縁には、塩。塩とライムでビールを飲むのが一種のスタンダードなのである。

 ちなみにメキシコのビールの中では、コロナビールがグローバル市場において、それなりに健闘しているけれど、メキシコ国内でコロナを飲んでいる人や売ってる店はあまり見かけない。もっとおいしいローカルビールがたくさんあるからだ。

 さらに余談だが、テキーラの産地であるメキシコでは、マルガリータでさえ、テキーラの銘柄指定で注文できて感動する。メキシコ人がライムをビールに搾るなら、徳島人がスダチをビールに搾らないはずがない。と思っていたら、やっぱり搾っていた。

 スダチを使ったレシピ取材の際、神山町で活動するNPO法人里山みらいのN氏に相談したところ、「このレシピを紹介するのはどうでしょう?」と真っ先に提案してくれたのがスダチビールであった。あまりにも作り方は簡単。しかし、徳島をあげてプロモーションしたいビールの飲み方であることは間違いない。おいしいよ。

 【スダチビア】<材料>スダチ1/2個、お好みのビール350ml<作り方>①グラスを冷蔵庫で冷やす②グラスにスダチを搾る③ビールを注ぐ

スダチを搾るだけで、いつものビールが爽やかな飲み物に。野暮を承知で申し上げるが、飲み過ぎないように注意されたし。

 神山町のスダチ農家でつくるみどり会の佐々木さん、料理人でつくる里山料理研究会の山田さんには、塩スダチを作ったレシピを教えてもらった。お二人は幼少の頃からのお互いを知っており、日々、神山やスダチのこれからについて熱く議論しているのだとか。しばらく前にレモンと塩を発酵させた調味料「塩レモン」が流行したが、「塩スダチ」はそのスダチバージョン。


■塩スダチ
■塩スダチ

 【塩スダチ】<材料>スダチ300グラム、塩100グラム<作り方>①保存容器を熱湯などで消毒②スダチを1/4にカット③塩、スダチ、塩、スダチの順で層になるように容器に入れる④冷蔵庫か常温で1-3日間、置く

 置くほど発酵が進んで、味が変わっていく。常温の方が発酵が進みやすいが、冷蔵庫の方がスダチの緑がきれいなまま保たれるとのこと。みじん切りにして揚げものに添えたり、パスタの隠し味にしたり、スライスして肉料理や魚料理に添えたり、使い方はさまざまだ。


■牛串焼き塩スダチ添え
■牛串焼き塩スダチ添え

 【牛串焼き塩スダチ添え】<材料>(1人分)焼き肉用の牛肉120グラム、塩スダチ少々、スダチ1/2個<作り方>①塩こしょうで肉に薄く下味をつける②肉をくるりと巻いて、串にさす③塩スダチをみじん切り、もしくは、スライスする④グリルやオーブントースターなどで、まず片面を焼く。焼けたらひっくり返して、もう片面も焼く⑤塩スダチを肉にのせ、軽くあぶる⑥半分に切ったスダチと一緒に盛りつける。


■ジンゾクの素揚げ塩スダチ添え
■ジンゾクの素揚げ塩スダチ添え

 こちらは、ジンゾクの素揚げ塩スダチ添え。神山町の川でとれたジンゾクだそう。神山スダチ鶏天は、塩スダチやスダチ酢を下味に使っている。


■神山すだち鶏天
■神山すだち鶏天

 9月1日から10月12日の間、神山に行くと、いろいろな神山すだち鶏天が食べられる。神山町のNPO法人里山みらいと里山料理研究会が主催する「神山すだち鶏天巡り」が開催されているからだ。山田さんが腕を振るう観月茶屋など、町内の9店舗が、それぞれのレシピで

神山すだち鶏天を提供。お店によって違う味を食べ比べてみたい。

 さらに、里山みらいとみどり会などは、東京のお店にスダチを使ったメニューを提供してもらう「東京すだち遍路」というイベントも9月1日から30日まで実施予定。人気のあんな店やこんな店も参加している。

 「阿波・徳島食文化史年表」という本がある。著者は西東秋男(さいとう・ときお)氏。1987年に徳島出版株式会社より出版されている。5世紀末から1986年までの徳島の食文化関連の動きを年表にまとめたこの本によると、1909(明治42)年、京都市で内国博覧会開催中の折、PRを目論み、石油缶2つ分のスダチが京都市内の一流料理店に無料配布されたという。しかし、「利用法を説明しなかったため、真価は認められず」という結果に終わったとのこと。

 全国のスダチの実に97%は徳島で生産されている。先に挙げた内国博覧会から1世紀以上を経た現在でさえ、県外では「スダチ?レモン(あるいはカボス)とどう違うの?」とつれない反応をされることもあるけれど、”勝手にスダチambassador”な一人として、個人的には、「スダチビア」と「塩スダチ」で、県外での知名度アップを図っていきたい。………≪徳島新聞の記事≫(全文はこちら)

 

 

木下真寿美@徳島(徳島新聞)
住所  :徳島県神山町
オススメ:スダチビア、すだち鶏天ほか

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