全ての料理に塩こうじ 驚きのコンビネーション 【GOHAN特製原稿】


日本伝統の調味料塩こうじと西洋料理。果たして合うのだろうかと思っていた。ところが、これが合うのである。びっくりした。
和洋中全ての料理に塩こうじを使う食事会「A TASTE OF TOKYO」(東京シェフズ主催、ハナマルキ協賛)が東京・品川のホテルで開かれ、レストランなどの有名シェフ約200人らに交じり料理を味わう機会があった。
まずは前菜。マグロ、サーモン、エビなど生ものは塩こうじで味を付けることによってうま味が引き出される。トマトのピュレは青臭さが抜けて爽やかさが。レバーペーストはかむほどにうま味がしみ出てくるようだ。何だろう、うま味が後を引く感じなのだ。
前菜のみ着席でサーブされたが、後はビュッフェ。「鯛の昆布締め 和風カルパッチョ 彩織野菜 塩こうじの香り」は口に含んだとたん、タイと昆布のうま味が混然一体となって広がる。「甘鯛と鱈白子の香草オイル焼き 生姜風味の軽いバターソース 塩こうじのジュレのヴェール仕立て」は、塩こうじが仲立ちとなって、白子の甘みと甘ダイのうま味を調和。甘ダイの身をふっくらとさせている。

特に威力を発揮するのは肉料理だ。「牛サーロイン肉の野菜巻き 網焼きワゴンサービス 塩こうじの泡ソースで召し上がれ」の肉はとても軟らか。薄い肉なのにうま味あふれる肉汁がしたたる。これは塩こうじにたんぱく質をアミノ酸に分解する酵素が含まれているからだ。
さもありなん、と思ったのはラーメンにぴったりなこと。「塩こうじ麺の一口ラーメン」は麺に塩こうじを練り込むことによって小麦にうま味を閉じ込め、スープともバランスが取れた一品となっていた。
パンにも塩こうじを使用。塩味と小麦のうま味がお互いを引き立て合っている。小麦との相性がいいようだ。
残念だったのは、料理を食べるのに一生懸命で、デザート争奪戦に乗り遅れたこと。「塩こうじクリームのショートケーキ」「塩こうじ入りモアローショコラ」などがあったが、気付いたときには品切れだった。甘味と塩こうじの組み合わせ。実に興味深い。次のチャンスに期待したい。
食事会に参加したウェスティンホテル東京の沼尻寿夫総料理長は「液体塩こうじを下味で使うのか、味付けとして使うのかなど、違った使い方をすることで料理の幅が広がっていく」と、塩こうじの可能性を話す。

食事会の前には小泉武夫東京農大名誉教授が講演。「日本のこうじ文化は世界に冠たるもの。次世代に伝えるのが使命だ」と強調していた。