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(275)「温」 皿上の器の中が温熱状態

2013.12.26 12:41

 讃岐 (さぬき) うどんをはじめ、各地においしいうどんがあります。その「うどん」は漢字で「 饂飩 (うどん) 」と書きますが、「饂」の方は日本で作られた字です。

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 白川静さんの字書「字通」によれば、日本の饂飩は 奈良 (なら) 期から食品としてはあったようですが、 文献 (ぶんけん) 的には室町期以後に出てくるそうです。

 その「饂飩」は、元は「 on.gif 飩 (おんどん) 」や「 kon.gif 飩 (こんとん) 」と記しました。「飩」は中国にもある字で「 屯 (とん) 」は「まるくまとめる」意味ですので、本来の「on.gif 飩」「kon.gif 飩」は 餅 (もち) や 饅頭 (まんじゅう) のような形のものを意味する言葉のようです。

 その「on.gif 飩」の「on.gif 」の 現代 (げんだい) の表記が「温」です。その「温」(on.gif )について 紹介 (しょうかい) しましょう。

 「on.gif 」の右側の字形は「皿」( 盤 (ばん) )上の器の中のものが温熱 状態 (じょうたい) にあることを 示 (しめ) す文字です。「囚」の形の部分は熱により、器の中に気がめぐっている様子。「on.gif 」の右側だけで「温」の元の字です。その「温」は「あたたかい」意味です。

 この「囚」の下に「皿」の字形をふくむ文字をいくつか紹介すると、「 褞袍 (うんぽう) 」の「褞」もその一つ。この場合の右側の字形は 暖 (あたた) かさを包むもののことで、それに「衣」を加えて「ころも、うちかけ」の意味です。「 褞袍 (どてら) 」は中に 綿 (わた) を入れた着物 状 (じょう) のもので、 防寒具 (ぼうかんぐ) や 寝具 (しんぐ) として用いました。

 学問や 技芸 (ぎげい) の深い 知識 (ちしき) を「 蘊蓄 (うんちく) 」と言い、持っている知識をすべて出すことを「蘊蓄を 傾 (かたむ) ける」と言います。「蘊蓄」は「薀蓄」とも書きます。この「蘊」「薀」は「積む」こと。「蓄」は「たくわえること」です。

 ちょっとエピソードのある言葉に「 on_2.gif 涼車 (おんりょうしゃ) 」というものがあります。広い中国を初めて 統一 (とういつ) した 秦 (しん) の 始皇帝 (しこうてい) が紀元前210年、地方を回っている 途中 (とちゅう) に 亡 (な) くなります。とりまきたちは、始皇帝の死を 秘密 (ひみつ) にして、「on_2.gif 涼車」にのせて 遺体 (いたい) を運んだそうです。「on_2.gif 」は今の 寝台車 (しんだいしゃ) に相当するもので、「on_2.gif 涼車」とは温度調節ができる車だったと思われます。(共同通信編集委員 小山鉄郎)

【編注】今回テーマの漢字「温」は小学3年生で学ぶ漢字です。

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