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東京の真ん中、人と地域をつなぐ 「淡路エリアマネジメント」(東京都千代田区、第4回優秀賞)

2018.1.22 13:02
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ワテラスの広場で月2回開かれるマルシェ(東京都千代田区=1月)
ワテラスの広場で月2回開かれるマルシェ(東京都千代田区=1月)

 

 老舗の名店が軒を並べる千代田区神田淡路町。丸の内や大手町が徒歩圏内の〝超都心〟だが、住民が一時100人単位にまで減るなど人口減少も進み、地域活性化が課題だった。廃校となった小学校跡地に大規模マンションやオフィスを備えたタワー型複合施設「ワテラス」が開発されたのをきっかけに、新たな交流やにぎわいづくりを目指そうと新旧住民と就労者、開発事業者の安田不動産で2012年に設立した。


 ▽神田らしさ残したい

 地域貢献への取り組みを考慮して、容積率を上積みできる都市再生特別措置法の規定を活用したビルのマンションは333戸。住民は一気に千人に増え、働く人も4千人規模に急拡大した。
 「神田らしい人情や情緒を残しつつ、コミュニティーを発展させたい」――。ワテラスの広場やサロンでイベントやギャラリーが始まった。老舗「かんだやぶそば」が協力する手打ちそば体験教室や、旬の食材を集めた市場、無料の野外ジャズライブのほか、神田明神とも連携してみこしの担ぎ方をレクチャーする神田祭り入門講座も。1カ月のうち約20日は多彩なメニューが展開され、新旧の住民をつなぎ、街を盛り上げてきた。


 ▽学生を助っ人に

 中でも注目されているユニークな取り組みが、学生と地域との交流を目的にワテラス内に誕生した賃貸マンション「スチューデントハウス」だ。周辺の神田・御茶ノ水界隈には大学キャンパスがひしめくが、家賃の高さから学生が居住するケースは少なく、高齢化率は30%以上に達していた。
 「学生を呼び戻して、街に活気を取り戻したい」(地元町会)との要望に応え、所有者の安田不動産が約20平方メートルのワンルーム36戸を学生向けに周辺相場より3~4割安い月額6万5千円(管理費1万円)の家賃で提供。家具・家電も完備している。

淡路マネジメント3
ワテラス内の学生マンション入居者は専用ラウンジも利用できる。右は淡路エリアマネジメント事務局マネジャーとして運営に関わる安田不動産の藤井雄一さん


 入居条件は地域活動に参加すること。学生は淡路エリアマネジメントの会員となり、防災訓練のほか、神田祭などの町会活動、ワテラスでのイベント運営を手伝う。活動1日につき1ポイント、半日の場合は0・5ポイントを付与し、年間12ポイント以上取得できない学生は次年度以降、契約できない仕組みだ。
 毎年20人前後の募集に対し全国各地から60人以上の応募があり、事務局が書類審査と活動の意思を確認する面接で入居者を決定する。「地元の祭りを手伝った経験がない学生も多い」(事務局)が、入居後も学生と町会との橋渡し役を事務局が担い、退去処分となった学生はこれまで1人にとどまる。巣立った約80人の中には「街づくりに関わりたい」とゼネコンや不動産会社に就職した学生もいるという。
 事務局では、企画立案から学生が主体的に関わるイベントを増やし、リーダーの選任などで体制を強化することも検討している。
 町会外からみこしの担ぎ手を集めていた神田祭でも、入居学生とオフィス就労者が加わることで、はんてんの貸し出しが再開発前より3割以上増えた。広場が神田祭の神酒所に使われるなど、町会と開発事業者が一体となった柔軟な運用でワテラスがコミュニティーの核となっている。

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ワテラスの広場で演奏を披露した神田明神将門太鼓(淡路エリアマネジメント提供、東京都千代田区=1月3日)

 

 前身である再開発準備組合の拠出金が活動の主な原資で、手掛けるイベントが無料か実費に近い参加費のため「10年後の資金繰りが課題」。息の長い活動を目指して、工夫を重ねている。(共同通信 錦織綾恵)

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