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団地を再生、DIYでまちを元気に 「ちば地域再生リサーチ」(千葉市、第4回優秀賞)

2017.12.22 15:49
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 高度成長期に全国各地で開発され、老朽化や住民の流出を共通課題として抱える大規模団地「ニュータウン」。国内有数規模の「千葉海浜ニュータウン」を拠点に、千葉大の教員と学生らが2003年に設立、住民によるDIYを取り入れたリフォームやシェアハウス物件の導入などで空き家の増加問題にいち早く取り組んできた。

DIYとプロの施工を組み合わせたリフォーム例(ちば地域再生リサーチ提供)
DIYとプロの施工を組み合わせたリフォーム例(ちば地域再生リサーチ提供)

 

▽建て替えない再生

 JR東京駅から電車で35分。千葉市・幕張沖や稲毛海岸を埋め立て1973年以降に誕生した街区に都市再生機構(UR)の賃貸・分譲団地と公営住宅が千ヘクタールにわたって立ち並ぶ。多くの住戸がエレベーターのない5階建て。現在も約5万世帯、約11万人が暮らすが住民の流出や高齢化は深刻な課題だった。

 「建築学的には鉄筋の建物の寿命は百年以上。もっと長く住み続けられるはずという思いが出発点だった」と事業責任者の陶守奈津子さん。設立当時は千葉大建築学科教授で、団地の基礎調査に取り組んでいた服部岑生理事長(現名誉教授)の研究室の学生。団地に住み込み、空き店舗をDIYで改装した事務所で住民のニーズを探る「御用聞き」から始めた。

 冬場の結露や、網戸の戸車など部品の不具合、階段移動で高齢者の外出が不便といった古い団地特有の悩みが寄せられた。「賃貸だから」と30年以上壁紙を一度も取り換えたことのない住民も少なくなかった。

30年以上貼り替えられず、黄色くくすんだ壁紙。「賃貸だから無理」と手入れしない住民も少なくなかった(ちば地域再生リサーチ提供)
30年以上貼り替えられず、黄色くくすんだ壁紙。「賃貸だから無理」と手入れしない住民も少なくなかった(ちば地域再生リサーチ提供)

 

 団地独特の規格や部品の仕入れ先に精通した元職人、日曜大工が得意な主婦ら地元の人材が次第に集まり、住民向けDIY講習会の定期開催やふすま紙の張り替えなど小口の修繕、プロの施工とDIYを組み合わせた低コストのリフォームなど次々に事業化。施工・相談実績を年間百件以上に伸ばした。

▽若い世代も呼び込む

 高齢者には移動がつらい上層階は資産価値も下がりがちだが、若者にとっては低家賃が好条件となる。シェアハウスが浸透する以前の06年に分譲団地の空き部屋を借り受け、ふすまにカギを設置するなどのリフォームで千葉大生に安く転貸する団地シェアプロジェクトを実践した。

 「街全体の魅力を高めないと人が来ない」。子育て世代も利用できる交流拠点の運営やショッピングセンターの再生、高齢者の買いもの支援など暮らしの安心につながる事業も手掛けた。住民が講師の「団地学校」では、急増した外国人居住者向けの日本語講座や地元のアーティストによる子ども絵画教室が人気だ。

団地内の公園の遊具を住民たちで塗り直すDIYのワークショップも開催した(ちば地域再生リサーチ提供)
団地内の公園の遊具を住民たちで塗り直すDIYのワークショップも開催した(ちば地域再生リサーチ提供)

 

 研究室の調査解析をいかして事業者への提案や百以上ある管理組合のサポートも続けてきた。URの賃貸物件でも制度が徐々に拡充され、原状回復義務のない模様替えの対象が広がったという。17年1月にはUR物件の管理を手掛ける日本総合住生活(JS)と管理組合とで三者協定を結び、賃貸物件の借り手が入居前から自分好みに改修できる空き家活用事業もスタート。JSが古い空き部屋を買い取り「ちば地域再生リサーチ」がアドバイスを担当する枠組みで、JSは3年で約10戸の再生を目指す。家賃は48平方㍍で7万4千円(管理費5千円)と周辺相場より高めの設定だが、内覧会には61組も集まる盛況ぶりだった。9%弱だった空き家率が7%弱に改善した団地もあり、空き家予備軍を減らす15年間の取り組みは成果を上げつつある。 (共同通信社 錦織綾恵)

 ショッピングセンターにある「にこりこ」には、買い物ついでに親子連れが立ち寄る=千葉市
 ショッピングセンターにある「にこりこ」には、買い物ついでに親子連れが立ち寄る=千葉市

 

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