メニュー 閉じる メニュー
東京五輪・パラリンピック

なでしこの背番号「10」、米国での刺激と変化 サッカー女子日本代表、籾木結花インタビュー

2021.6.10 17:00
NWSLのソーンズ戦でプレーするレインの籾木=3月、ポートランド(ゲッティ=共同)
NWSLのソーンズ戦でプレーするレインの籾木=3月、ポートランド(ゲッティ=共同)
 東京五輪で金メダルを目標に掲げるサッカー女子日本代表「なでしこジャパン」で10番を背負うのが、米女子プロリーグNWSLのレインに所属する籾木結花(25)だ。日本の攻撃の切り札となる技巧派は、強豪の日テレ東京ヴェルディベレーザから米国へ移籍して2シーズン目。思考を止めない探究心の塊のようなアタッカーが、異国での経験や代表への思いなどを語った。(共同通信=大沢祥平)
  ×  ×
 ―昨年5月に米国へ移籍。移籍先の選択肢として優先順位は低かった。
 「国内で大きく移動するし、練習量も日本に比べると少なくなる。ある程度キャリアを積んでから行くのが理想だという話も聞いていました。米国のスタイルも自分のスタイルとは真逆。選択肢として最初は低いところにありました」
 ―昨年の国際親善大会後にオファーがあった。
 「(女子米国代表の)ラピノーがいるチームと聞き、自分にとっては大きな挑戦になるな、と。いろいろ相談もしましたけど、自分の中では、もう行くと心の中では決めていました」
 ―ラピノーは2019年女子ワールドカップで優勝した米国の中心で、世界屈指の選手。男子代表との格差是正やあらゆる差別の根絶を求めるなど、社会問題への積極的な発言でも知られる。
 「いろいろな意味で世界のトップで、その選手とやれるのはすごくプラスになる。W杯で感じたアスリートとしての敗北感や、(米国代表が)なぜそういうことができるのかという疑問をすっきりさせたい、自分の目で見て、自分の言葉で腹落ちさせたいというところもありました」
 ―新型コロナウイルスの影響で、ラピノーは昨季プレーしなかった。
 「去年は一度も会えなかったです。(今年)2月に、『あなたがいたからここに来たよ』と伝えました。今までに感じたことのないわくわく感がありました」
 ―疑問への答えは見つかったか。 
 「あそこまで米国代表がメッセージ性を持てるのは、国の歴史として、いろいろな人種の人々が同じ国の中で生きてきたというところがあると思います。ピッチに立つ以前にいろいろな問題を乗り越えてきた選手がいるのが普通。自分が育ってきた環境では、今のように多種多様な人たちと関わる経験があまりなかった。歴史的な背景が大きく違うので、日本でまったく同じことをやるというのは多分、違うのかなと感じています」
日本代表の国際親善試合、パナマ戦で得点を決め笑顔の籾木(中央)=4月、国立競技場
日本代表の国際親善試合、パナマ戦で得点を決め笑顔の籾木(中央)=4月、国立競技場
 ―プレー面で成長は。
 「プレッシャーの速さに慣れてきたのは一つの成長。『絶対ファウルだよ』って思う場面でも、その選手は心からファウルじゃないと思っているくらいに抗議をしてくる。そういう激しさが常にあります」
 ―今、追求していることは。
 「自分が育ってきた環境はすごく特殊だった。べレーザでは(下部組織から)ずっと一緒にやってきた仲間がいての自分の評価だったと感じています。ボールを触る回数、時間が日本より減っているからこそ、スポットライトが当たった時に、質の高いパス、シュートが出せるかどうかを追求したいと思っています」
 ―「新しい女子サッカー選手像をつくりたい」など、これまでもさまざまな発信をしてきた。今はどんな発信を考えているか。
 「結構、難しいですね。例えば、自分らしさを持ってほしい、と発信すれば、強要することにもなる。どういう発信が一番いいのかなとすごく考える。新しいモヤモヤ時期に来ています」
オンライン取材に応じるサッカー米女子プロリーグNWSLレインの籾木
オンライン取材に応じるサッカー米女子プロリーグNWSLレインの籾木

 ―サッカーでの目標についても、定型句のような「世界一」が本当の目標なのかと、これまで自問自答していた。東京五輪を前にしての考えは。

 「世界一という目標が自分のものではないと最初に感じたのは、いろいろな人、環境から影響を受けて勝手にでき上がっていたと気づいたからです。でも、今季は勝つってこんなうれしいんだと改めて感じています。ベレーザでは勝つことが当たり前に求められ、勝ちたくて勝ちにいっているというより、うまくなりたくてサッカーをやっていたら結果的に優勝していたという感じでした。いい組織にいたからこそ、忘れていた感情だったのかもしれません。本当に今は勝ちたくてサッカーをやっています」
  ×  ×
 籾木 結花(もみき・ゆうか)日テレ東京Vで19年までのなでしこリーグ5連覇に貢献。20年5月にレインへ。リンシェピング(スウェーデン)への期限付き移籍を経てレイン復帰。代表通算35試合12得点。慶大卒。スポーツ事業会社「クリアソン」の社員でもある。